こちらは、税理士事務所と顧問契約をしている中小企業の経営者や経理担当者向けの記事です。
税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
きむら
月次で会う時に質問では、もう手遅れ?!
税理士と月次顧問契約すると、企業側はだいたい1ヶ月に1度、税理士や税理士事務所スタッフと会うことになります。これを「月次」とか「月次往査」といいます。
この月次往査時に、税理士事務所は前月の資料や数字を見ることになります。そして、その時に質問されても「もう手遅れ!」ということが、実は往々にしてあるのです。
そこで、「こういうことがあったら、その都度確認してほしい〜!」と税理士である私が切に願う、そんな「3つのこと」について、今日はお話しします。
きむら
その1:個人に支払いをするとき
個人に支払いをするとき、つい忘れてしまいがちなのが「源泉徴収」。これをうっかり忘れてしまうと、徴収義務者である企業側にペナルティが課せられます。気をつけましょう。
例えば、バイト代・パート代などの支払いについて
「87,000円くらいまでは、源泉ゼロでいい」
と知っている経営者・経理担当者も多いですが、そのバイトさん・パートさんが2か所以上かけもちで働いていたとしたら、どういう扱いになるかご存知ですか?ケースによっては、源泉徴収が必要になります。
また、個人宛に報酬などの支払をする場合、その内容によって、源泉徴収が必要になります。「相手の請求書に、源泉税を引けとは書いてなかった」は言い訳にはならず、源泉徴収の有無は、会社や事業主が判断しなくてはならない事項なんです。
「個人に支払をする前に、念のため税理士事務所に質問だ!」ーーこれ、アタマの片隅にいれておいて下さいね。
きむら
その2:海外に支払いをするとき
海外へ人件費や費用の支払いをする際も、税理士事務所に確認をしたほうが良いです。ちなみに、海外への支払で注意が必要なのは、対個人だけではありません。海外への支払いは、相手が会社(法人)の場合も要注意です。
というのも、海外の法人や個人(非居住者)へ一定の支払いをする時も、源泉徴収が必要になるからです。しかも源泉徴収が必要かどうかの判断は、国内の個人に対する判断よりにかなり難しいので、税理士事務所に事前確認したほうがいいです。
ちなみに、海外の国等と日本との間で「租税条約」が締結されている場合には、源泉徴収が軽減されたり不要となることがあります。ただし、そのためには 「租税条約に関する届出書」を事前に出しておかねばなりません。
軽減・減免を受けるためにも、余裕をもって、税理士事務所に事前の確認をするようにしましょう。
その3:契約書などの文書を交わすとき
「契約書」を交わすときは印紙が必要ーーこう認識している方は、多いことでしょう。
ところが、印紙が必要かどうかは、「契約書」という文書の名前で判断するわけではありません。「覚書」などの名前であっても、内容を見て「契約書」に該当すれば印紙税の対象になります。単純に文書名だけで判断しないよう注意が必要です。
また
- 契約書によっては印紙税の軽減措置があるものも!
- 内容が請負ではなく委任の場合には印紙税は不要に!
- 契約書等の金額を、消費税等を区分して記載すれば、印紙税の節約につながる場合も!
などなど、単純そうに見える印紙税も、かなり論点が多いです。
それに、印紙税貼り忘れのペナルティは、たいへん高くつきます。そのため、税務調査でも必ず狙われます。
契約書などの文書を交わす際も、ぜひ、税理士事務所に質問をしてみてくださいね。
編集後記
きむら