こちらは、ブログを仕事に役立てたいと考えている方向けの記事です。
「仕事に活かすブログ教室」を運営しています、税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
このブログを開設して1年半、確定申告の時期には月間23万ページビューを記録するメディアに育ちました。
世の中の錚々たるカリスマブロガーと比べれば、ページビュー数はまだまだひよっ子ですが、ブログ経由で新規の顧客を獲得したり、今まで取り引きの無かった先から講師として招いて頂いたり、ブログは私の仕事には欠かせないものになっています。
私の経験上、ブログ運営の目的が、広告料やアフィリエイト収入ではなく、
「顧客獲得に結びつけたい」
「セミナーに来てもらいたい」
といったことであるならば、フリーランス・経営者・専門家の方のブログは、決して爆発的なページビュー数は必要ありません。
必要なのは
「この人に仕事を依頼したい」
「この人の会社の商品を買いたい」
と思わせる専門性や信頼感、親しみをブログ文から醸し出すことです。
あとは、自分を必要としてくれる人に確実に記事にリーチしてもらうための、SEO(検索エンジン最適化)の知識です。
そこで、私が実践している「自分(自社の商品)を必要としている人に自分の価値を知ってもらうための、小手先ではない真っ当なブログ術」について、このブログ上に公開していくことにしました。
今回は、その初めての記事です(^^)
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専門家ブロガーのとある悩み
私が税理士だからでしょうか。オンラインサロンのメンバーも、周囲にいるブロガーも、税理士・社会保険労務士・弁護士などの専門家の方が多いです。
そういった「専門家ブロガー」の方の話を聞いていると、自分の専門分野のことを書く際に、こんな悩みを持たれるようです。
確かに、規定や要件などを書き連ねていると、専門書や官公庁のホームページのような内容になってしまいます。そうなると、読者(=潜在顧客)に記事を読んでもらうことも、自分をアピールすることも、難しいですよね。
「教科書的な記事から脱皮する」--確かにここが、多くの人に自分のブログ、つまりは、自分に興味を持ってもらえるカギになります。
そこで今回は、私が専門分野の記事を書く時に心がけている4つの工夫についてお話しします。
この4つの工夫をしていることで、私のブログは、おそらく教科書的になっていないはずです。
きむら
工夫1:書くべきネタはサーチエンジンに聞け!
最初に、私がどのようにネタ探しをしているのか、お話しします。
「いや、ネタくらい自分で思いつくから」という専門家のみなさん!ほんとうにそのネタでいいんでしょうか?
実は、我々専門家の興味と、想定顧客である読者の興味は、相当ズレているんです!
では「読者の興味」をどのように知るのか。私は「関連キーワード取得ツール」のお世話になっています。
たとえば、「医療費控除」をテーマに記事を書くことに決めたとしましょう。
関連キーワード取得ツールにアクセスし、「検索キーワード」のところに「医療費控除」と入力して「取得開始」をクリックします。
すると、「医療費控除」という単語がどんなキーワードと共に検索されているかの一覧を見ることができます。医療費控除に関する「Yahoo!知恵袋」や「教えて!Goo」の質問の一覧も見ることができます。
つまり、「関連キーワード取得ツール」を使うと、世間の人が何に疑問を抱き、どんな問題解決をしたいのかを知ることができます。
検索キーワドの一覧は、「読まれる記事」を書くための、まさに宝の山です。
私はこのツールを使い検索ワードを見ることで、
「医療費控除の還付申告は5年間できると聞いたけど、それって、5年分の医療費の領収証を合わせて10万円以上になれば、控除できるってこと?」
という、税理士である自分には到底想像も出来なかった疑問を多くの方が抱いていることに気がつきました。
それを題材に書いた記事が、こちらです。この記事は今や、私のブログでも1、2位を争う人気記事になりました。

まさに、関連キーワード取得ツールサマサマであり、「潜在顧客が抱く問題はサーチエンジンが教えてくれる」なのであります!
工夫2:ペルソナ、設定してますか?
ネタを仕入れた次に私がやることが、ウェブマーケティング用語で言う「ペルソナの設定」です。
プロフィールや人格まで含めて、読者を想定するようにしています。
まだブログ全体のコンセプトが固まっていない段階だと、ペルソナを絞ることを難しく感じるかもしれません。
その場合は、記事ごとにペルソナを設定してもいいですよ。「この記事は中小企業の経理担当者向け」「この記事は会社を設立してまだ1期目の社長向け」…といったように。
ペルソナの設定について、もっと具体的に説明しましょう。
例えば、税理士が「交際費の損金不算入について書こう」としたとします。ペルソナを設定しないと、大企業向けの規定も中小企業向けの規定も書き、交際費の範囲について書き、損金不算入の限度額計算についても書き…ということになってしまいます。
これでは、国税庁のタックスアンサーの内容と変わりません。
そこで「読者は中小企業の社長。世間体を気にしがちで、交際費は年間いくらくらいまで使うのが妥当なのか、知りたがっている」と、ペルソナを設定します。
▼そうすると、規定や要件を羅列する必要が無くなり、書くことがスリムになり、ピリっとしまった記事になりますよ!

ブログ書くことで顧客獲得を目指すブロガーにとって、ブログ読者のペルソナを意識することは、「こんな人に顧客になってもらいたい」という像を明確にすることにも繋がります。
だから、ブログを書く際にペルソナを意識することは、仕事の上でも必ず役立ちます。
さあ、ネタも仕入れ、記事の読者像も固めました。いよいよ記事の執筆です。でも、いきなりは書き始めませんよ(^^)
■ スポンサー広告 ■工夫3:書く前にあることを明確にすれば誰もがストーリーテラーになれる
以前、私のこのブログ記事について

税理士界のカリスマブロガー・モロトメジョーさんから、こんなこそばゆい評価をいただいたことがありました。
テーマ(交通系ICカードの経理処理)自体は、どの税理士も書いているし書けるであろうテーマです。ところが、そんじょそこらの税理士ブログとはまったくちがう。別モノです。
なにがちがうのか? 記事の根底に流れている強い「物語性」です。読み手が何を興味に読みはじめ、何を疑問に思うか、何につまづき、結果何を得るのか・得たいのか。
そういった読み手がブログを読むことで体験するであろうストーリーがすごくしっかりしている。だから、読み手を「行動」にまで押し上げるのですね。読んでおしまい、ではなく。
それまで自分のブログの長所に無自覚だった私ですが、モロトメさんが言語化してくれたおかげで、ブログのノウハウを1つ得ました(自分のことって、長所も短所もなかなか気づけないものです)。
そのノウハウとは、書くネタを決めたあといきなり書き始めるのではなく、まず、次の3点を明確にすること。
- 読者は、何に興味を持って読みはじめるのか
- 読者は、何を疑問に思い、何につまづくのか
- 読者は、このブログを読んだ結果、何を得るのか
この3点を明確にした上で、この流れに添って書くことで、ブログに「物語性」を吹き込むことができます。
難しく感じるかもしれませんが、
「読者をこの地平に連れて行ってあげたい」
という思いがあれば、多少文章はぎくしゃくしていても大丈夫!伝わります。
1. 〜3. を明確にするのは、紙に書いてもいいですし、頭の中で組み立てるのでも大丈夫です(私は頭の中で組み立てる派です)。
このステップを経てから書き始めることで、教科書的ではない、あなたの個性や人間味が感じられる記事になるはずです。きっと。
工夫4:壮大な「特集」に手を出しちゃダメ!「一点突破でお悩み解決」な記事を積み重ねる
ブログを書き始めると、専門家がつい手を出したくなるのが壮大な「特集もの」です。
税理士で例えると「確定申告特集」とか「消費税軽減税率特集」とかでしょうか。
でも、私はこういった壮大な「特集」については、やらない方がいい、いや、おやめなさいと言いたいです。
こういった「特集」を書くには、まずもって根気と忍耐と構成力と時間が必要ですが、書き上げたとしても、国税庁のホームページ等に、網羅性や使い勝手の点では絶対にかないっこないです。
つまり、特集ものに手を出すと、労多くして益少なしで、ブログが嫌いになるきっかけになってしまうことが多い…。
こう言うと、「そういうお前は、確定申告のまとめを書いているではないか!矛盾してないか?」と突っ込まれそうですが

実はこのまとめ、国税庁のホームページや「確定申告の手引き」では、教えてくれないこと・わかりにくいこと・救われないことに絞って書いています。
いわば、確定申告の「ライフハック的なこと」を書き連ねているんです。たとえばこんな記事です。

特に計画性なく確定申告のライフハック的な記事を書き、確定申告の時期にまとめ記事化しただけです。
こう書くと、みなさん「そんなライフハック的な記事に価値はあるのか?」と思われるかもしれませんね。
でも、ちょっとみなさん自身の経験を思い出してみてください。
自分の専門分野以外のことで
「ああ、ココだけがわからないために、前に進めないよー!」
といったことが、ありませんでしたか?ココだけでいいから、専門家に聞きたいなーと思ったことが。
これって、どんな分野にもあると思います。
そういった、一点突破でお悩み解決につながりそうなことを、最初は体系など考えず、どんどん記事にしていきましょう。
記事数が溜まれば、体系に添ってまとめることで、私の確定申告特集のような「総合記事っぽいまとめ」にすることもできます。
総合的・網羅的に書こうとして、行き詰まってしまう人は、ちょっと肩の力を抜いて、一点突破型の記事を書くことを意識してみてください。
まとめ
私が専門分野について書く際に心がけている、教科書的にならない4つの工夫は以上です。
きむら
工夫2:ペルソナを設定する
工夫3:書く前に読者が記事から得るものを明確にして書き始める
工夫4:壮大な「特集」を書こうとせず「一点突破でお悩み解決」な記事を積み重ねる
この工夫は「教科書的にならないコツ」というだけでなく
「専門家がブログを書く意味ってなんだろう?官公庁のホームページや専門書に叶うわけないのに…」
と、悩まれる方への「答え」でもあります。
ピンポイントにピリっと効く具体的なお悩み解決の記事は、不特定多数をターゲットにしたメガサイトや書籍では扱いにくいからこそ、個人ブログはそこを攻めることをおすすめします!