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税理士試験「ドツボ科目」にぶち当たってしまったあなたへ「ラッキー科目」に恵まれたあなたへ

こちらの記事は、税理士試験の受験生の方向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

平成30年度の税理士試験の合格発表から、ちょうど10日が経ちました。受験生のみなさまにおかれましては、合否の通知は良いクリスマスプレゼントだったでしょうか?

税理士きむら

ここであえて言います。合格の通知であったとしても、不合格の通知だったとしても、それは「良いプレゼント」です。そしてそれを「良いプレゼント」にするのは、すべてはあなた次第です。

税理士試験の「ドツボ科目」と「ラッキー科目」

毎年12月の半ばになると、税理士試験の受験時代、合否に一喜一憂していた頃を思い出します。

税理士試験は、基本的に5科目合格してゴールとなります。その5科目の中には、「ドツボ科目」「ラッキー科目」が1つずつあるように感じています。あなたはどうですか?

例えば、私にとって「ラッキー科目」は簿記論でした。正直言って、なんだかまだまだ自分の中では理解も不十分で、未消化感があったにも関わらず、合格。通知を見た瞬間は「えっ!?ラ、ラッキー!」と、嬉しさ半分戸惑い半分でした。

対して「ドツボ科目」は、財務諸表論でした。3回目の受験で合格。2回目の受験の時は、大原簿記学校での実力判定テストの結果も良好だっただけに、不合格の結果を突きつけられた瞬間はショックで、しばらく立ち直れませんでした。

「ドツボ科目」に出会った受験生は幸いである

受験生の方の中には、今年、残念ながら不合格となった科目に関して

「ひょっとして、◯◯法がドツボ科目になるかも…」
「どうしてこんなに勉強しているのに、なかなか合格できないのだろう…」

と悲嘆にくれている方もいらっしゃることでしょう。

今、受験の渦中にある方からしたら、なるべくなら「ドツボ科目」に遭遇したくないと願うのは、自然なことです。

でも、あえて私は言いたい。

「ドツボ科目に出会ってよかったね」と。

特に、あなたが2〜3年目という受験初期であれば、なおさらです。

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「ドツボ科目」が、受験生としても税理士としても、あなたを育てる

なぜなら、その「ドツボ科目」が、あなたを

「税理士試験を舐めちゃダメなんだ・・・」

という気持に向かわせるからです。

当時の受験仲間を見渡すと、比較的受験初期に「ドツボ科目」と出会った人は、真摯に試験勉強に取り組む傾向があり、最終的に合格している人が多かったように感じます。

そして、「ドツボ科目」に出会った幸運は、単に受験の面だけに止まりません。

ドツボにハマって何年も勉強した科目が、税理士試験合格後は、実務で得意分野になるなんてことも。

また、受験生の時の栄光は、合格後は全く役に立ちません。

2〜3年の短期で合格したからって、合格まで10年かかったからって、納税者からしてみたら、そんなことはまったく関係ありません。納税者にとっては「自分にとって良い税理士か、悪い税理士か」だけが判断軸です。

むしろ、「ドツボ科目」と向き合って苦難の末に試験を突破した税理士は、粘り強さもあるわけですし、中小企業経営者の苦悩に寄り添える良い税理士になれるんじゃないでしょうか。

「ドツボ科目」と出会ったら、

「この科目が、私を(俺を)育ててくれるのだ!」

と思い込みましょう。

大丈夫。合格の秘訣は「合格するまで試験を受け続けること」。いつかは必ずドツボった経験が、あなたに微笑む日が来ます。たとえ、そのドツボ科目を捨てて他の科目に乗り換えたとしても、大学院で科目免除するにしても、その経験が肥やしになったからですよね。

ただ、肥やしになるかどうかは、あなた次第なんですけどね。

「ラッキー科目」に出会ったあなたは、気を引き締めて!

逆に、受験1〜3年目で「ラッキー科目」に出会った受験生の方は、ちょっと気をつけて!

冒頭でも話したとおり、5科目の中には、「ラッキー科目」と「ドツボ科目」が必ず1つずつはあるんです。

「ラッキー科目」が受験の最後のほうで来るといいんですが、受験初期にラッキーに何か1科目合格しちゃうと、あなたの性格によっては、それが災いに転じる可能性も…。

ちょっと一例をお話ししましょう。

私が受験生の頃、大原簿記学校の先生から聞いた話です。相続税法の受験勉強を、本試験の1ヶ月前から本腰入れて開始した受験生がいたそうです。税理士試験にチャレンジしたことのある人なら、これがどれだけ無謀なことであるかわかると思います。

その人は、計算は実務で経験があったのでちょっとだけ問題集をかじり、税法の理論は3問だけ暗記して本試験に臨んだんだそうです。

すると…

その理論3問が本試験に出て、その受験生は合格してしまったのだとか(驚)。

たまたま暗記した問題だけが本試験に出るというのは、宝くじの1等が当たるよりは確率が高いですが、普通はありえないこと。まさにその受験生にとって相続税法は、「ラッキー科目」になったわけです。

ところがこの方、その後は1科目も合格せず、最後は税理士になるのを諦めたんだとか(これまた驚)。

大原簿記学校の先生は、なぜ私たち受験生にこの話をしたのでしょうか。もしかしたら全部が実話ではなく、脚色した話なのかもしれませんが、ようは

「受験をラクしてあがろうとするなよ。税理士試験を舐めるなよ」

ということを「寓話」として伝えたかったのかもしれません。

でもこの話、真実でなくても、真理だと思いませんか?

税理士試験も
税理士という仕事も
舐めちゃいけない。

ほんと、そうなんです。。。

まとめ

この年末を、悲喜こもごもで過ごされている税理士試験の受験生の方に向けて、思うところを書いてみました。

税理士きむら

税理士試験は、本試験から合否発表まで4ヶ月もある試験です。だから、今突きつけられた「合否」は、あなたにとって過去のこと。良い結果でも悪い結果でもそれに一喜一憂せず、ぜひ、前を見てください。来年の本試験は、既に8ヶ月後に迫っています。

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