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寡婦控除・寡婦控除のし忘れに要注意 〜しっかり理解し控除を受けよう!(判定フローチャート付き)

何かと敬遠されがちな「税」について、親しみやすく分かりやすくお届けします。税理士のきむら あきらこ(@kimutax)です。

所得控除の中でも、意外に難解なのが寡婦控除と寡夫控除。でも、正しい知識さえ持っていれば、手続きはとても簡単なんです。

きむら

特に漏れが多い控除なので、もったいないです。しっかり理解してガッツリ控除をうけましょう!

寡婦控除・寡夫控除とは

寡婦控除・寡夫控除とは

  1. 婚姻をしていた女性・男性が、
  2. 配偶者と離婚や死別したことによりシングルとなり
  3. 一定の要件を満たしている

場合に受けることができる所得控除です。

この寡婦控除(寡夫控除)、1. と 2. の要件はさほど難しくないのですが、3. の「一定の要件」がなかなか難しく、そのために申告をする時に違いがおきやすいのです。

次から、この「要件」についてお話ししていきますね。

寡婦控除の要件

寡婦控除

寡婦控除とは、次の要件のいずれかを満たした女性が、受けることができる控除です。控除額は27万円です。

  • 夫が亡くなってから結婚していない(夫の生死が不明の場合も含む)人で、扶養親族か、生計を一にする子(※)がいる
  • 夫と離婚してから結婚していない人で、扶養親族か、生計を一にする子(※)がいる
  • 夫が亡くなってから結婚していない(夫の生死が不明の場合も含む)人で、合計所得金額が500万円以下

死別の場合は、扶養親族または生計を一にする子がいるか、所得が低い場合に、寡婦控除が受けられる。

離婚の場合は、扶養親族または生計を一にする子がいる場合に、寡婦控除が受けられる。

こう覚えておくと、いいですよ!

MEMO
(※)・この場合の「子」ですが、総所得金額等が38万円以下で、他の人の扶養親族・控除対象配偶者になっていない「子」に限られます。
・年齢が16歳未満の扶養親族は、扶養控除の対象になりませんが、ここで言う「扶養親族」又は「生計を一にする子」の年齢に制限はありません。

特別の寡婦

寡婦に該当する女性が、次の3つの要件すべてを満たすときは、控除額は35万円になります。これを特別の寡婦といいます。

  1. 夫が亡くなってから結婚していない(夫の生死が不明の場合も含む)、または、夫と離婚してから結婚していない。
  2. 扶養親族である子がいる
  3. 合計所得金額が500万円以下である

きむら

「特別の寡婦」は、年収が低いシングルマザーの控除を厚くするのがその趣旨です。

寡夫控除の要件

寡婦控除の男性版もあります。それが寡夫控除です。

次の3つの要件のすべてを満たした男性が受けることができる控除で、控除額は27万円です。

  1. 妻が亡くなってから結婚していない(妻の生死が不明の場合も含む)、または、妻と離婚してから結婚していない。
  2. 生計を一にする子(※)がいる
  3. 合計所得金額が500万円以下である
MEMO
(※)この場合の「子」ですが、総所得金額等が38万円以下で、他の人の扶養親族・控除対象配偶者になっていない「子」に限られます。

要件は寡婦控除よりも厳しくなっています。

きむら

寡婦控除の場合は、要件の「いずれか」を満たせばいいのに、寡夫控除の場合は「すべて」満たす必要があります。また、2. の要件は「子」のみです。子以外の父母などを扶養していても、寡夫控除は受けることができません。

そして、男性には「特別の寡婦」のような控除が厚くなる特例もありません。

きむら

逆男女差別のような気もします…。もともと寡婦控除は、戦争未亡人を救うためにできた制度だからなのかもしれませんが。もう少し今の時代にフィットするよう、男性・女性で控除の体系を同じにしても良さそうなのに。

寡婦控除・寡夫控除を受けるときの注意すべきポイント

寡婦控除・寡夫控除における「夫」や「妻」とは、民法上の婚姻関係、つまり、役所に婚姻届を提出し、法的に結婚している関係をいいます。従って、事実婚を解消した場合は、受けることはできません

また、その年の12月31日時点において寡婦・寡夫であるかが条件になるので、年の途中で寡婦・寡夫になった場合でも、その年の寡婦控除・寡夫控除を受けることができます。

寡婦控除・寡夫控除を受けるには、確定申告書の寡婦控除・寡夫控除の欄にチェックを入れるだけでよく、戸籍などの証明書類の貼付などは必要ありません

▼確定申告書B第二表の記載例

▼確定申告書B第一表の記載例

寡婦控除・寡夫控除は、なぜ間違えやすいのか?

寡婦(夫)控除は、とても間違えやすい控除です!それは、次のような理由によります。

1)要件の定義が正確に理解されていない

男性(寡夫)が、この規定の存在を知っていなかったり、男性は受けられないと思いこんでいるケースが多いです。

女性(寡婦)の場合だと、子どもが独立すれば受けられないと思っていて(所得要件を満たしていたり、子どもではなくても親などの親族を扶養していれば、受けることが可能)、控除をしていないケースをよく見かけます。

逆に、夫と離婚した方が、扶養家族がいなくなった後でも、間違って寡婦控除をし続けているケースもあります。

2)プロ(税理士)も、過去の婚姻歴などを把握していない場合、失念しやすい

離婚後年月がかなり立ってから税理士に申告を依頼する場合など、税理士が婚姻歴を知らなかったりすると漏れやすいです。

さすがに扶養家族であるお子さんがいるのに「配偶者ナシ」だと、「寡婦(夫)だ!」と気づくのですが、今は生涯未婚率も高いので、本人から結婚歴の有無を聞かされない限り「独身なんだろう」と思い込んでしまうことも。

税理士も漏れが無いよう、チェックリストや質問で対応をするようにしましょう!

3)改正の影響(今はお年寄りの方も控除できます!)

以前、65歳以上の方は、寡婦控除・寡夫控除を受けることができませんでしたが、老年者控除の廃止にともない、今では寡婦控除・寡夫控除の年齢制限はなくなり、お年寄りの方も控除できます。

その影響でしょうか。確定申告の相談会の会場などに行くと、寡婦(夫)控除の漏れがあるお年寄りが、けっこういらっしゃいます。

4)申告ソフトの関係

配偶者の有無だけでなく、配偶者とは死別か離婚か、所得要件、家族の要件も判断の要素になります。自動判定ではなく自分のアタマで要件の適否を考えて、寡婦(夫)控除を受けるかどうか入力する申告ソフトが殆どです。

まとめ

寡婦控除は、夫と離婚・死別していれば、受けられる可能性がかなり高いです。所得の低いシングルマザーであれば、特別の寡婦に該当する可能性もあります。

寡夫控除は、寡婦控除よりは要件が厳しいですが、所得の低いシングルファーザーの方は、受けられる可能性があります。

いずれも申告手続きに証明書などは必要ありません。知識さえ知っていれば、手続きはとても簡単です。控除を受けられる年齢制限もありません。

寡婦控除・寡夫控除判定フローチャート

きむら

最後に、フローチャートを作ってみました。寡婦(寡夫)控除を受けることができるか、判定の参考にして頂ければ幸いです。

▼寡婦控除

▼寡夫控除