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寡婦控除・寡夫控除の「みなし適用」ご存知ですか?未婚のひとり親なら知っておきたいマネー知識

こちらは、未婚のひとり親の方向けの記事です。

時間・行動・お金をコントロールする術を、ブログでお伝えしています。税理士で逆算手帳・認定シニア講師のきむら あきらこ(@kimutax)です。

世の中には、知っていて手続きさえすれば、得する情報がいくつもあります。今日はそんな情報のひとつ、寡婦(夫)控除の「みなし適用」についてお話しします。

きむら

2018年6月から、寡婦(夫)控除の「みなし適用」を受けられる範囲が拡大しました。未婚のひとり親のみなさん、要チェックです!

まずは寡婦控除・寡夫控除からおさらい

所得税と住民税には、寡婦控除・寡夫控除という控除があります。

▼寡婦控除・寡夫控除について詳しくはこちらから
「寡婦控除・寡婦控除」しっかり理解し控除を受けよう!(判定フローチャート付き)

配偶者と死別または離婚した後、扶養親族をかかえていたり、所得が低かったりする場合に、受けることができる所得控除です。

▼所得控除なので控除額×税率の分だけ税金が減るよ!
税法用語の意味がわかるブログ(2)「所得控除・税額控除」

まずは、それぞれの控除の内容から、お話しします。

女性が受けられる控除

寡婦控除(控除額 所得税27万円/住民税26万円)

寡婦控除とは、原則としてその年の12月31日時点で、次の要件のいずれかに当てはまる場合に受けられる控除です。

要件

  • 夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子(※)がいる場合
    ※総所得金額等が38万円以下で、ほかの人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない子に限ります
  • 夫と死別した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の場合

寡婦(控除額 所得税35万円/住民税30万円)

寡婦に該当する人が次の要件のすべてを満たす場合には、寡婦控除額にプラスして8万円(住民税5万円)を控除することができます。

要件

  • 夫と死別し、または離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない
  • 扶養親族である子がいる
  • 合計所得金額が500万円以下

男性が受けられる控除

寡夫控除(控除額 所得税27万円/住民税26万円)

寡夫控除とは、原則としてその年の12月31日時点で、次の要件のすべてを満たす場合に受けられる控除です。

要件

  • 妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない
  • 生計を一にする子(※)がいる
    ※総所得金額等が38万円以下で、ほかの人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない子に限ります。
  • 合計所得金額が500万円以下

男性は「特別の寡婦」に相当する控除はなく、受けられる控除は、この寡夫控除の一種類のみです。

きむら

寡婦控除・寡夫控除は、それぞれの要件の「いずれか」「すべて」に気をつけて判定しましょう

こちらに判定のフローチャートあります!

寡婦控除・寡夫控除判定フローチャート

未婚のひとり親は、寡婦(夫)控除は受けられない

ひとり親を税制面から救済する寡婦(夫)控除ですが、今の税法では未婚のひとり親はその対象とならず、寡婦(夫)控除の恩恵を受けることができません。

きむら

現状は法律婚をした夫婦が、死別、または、離婚した場合にのみ適用される制度なんです…。

未婚のひとり親は控除を受けられないことで、同じ収入であっても、その分、所得税や住民税の額が増えてしまうことになります。

未婚のひとり親が不利なのは税金だけじゃない

未婚のひとり親には、税額以外にも不利な点があります。

各地方自治体では、利用者の所得によって、保育所の保育料・公営住宅の家賃・社会福祉施設の利用可否などが決まります。

未婚のひとり親の場合、寡婦(夫)控除を受けられないことで

所得が高くなる
 ↓
保育料や家賃が高くなる or 社会福祉施設が利用できない

という不公平も背負ってしまいます。

未婚者への不公平を是正する「みなし適用」

この未婚者への不公平を是正するための制度が「みなし適用」です。

「みなし適用」とは、寡婦(夫)控除が適用されない未婚のひとり親であっても、行政サービスを受けるにあたり、寡婦(夫)控除相当分を所得から減額することにより、料金や利用の可否を判定できるという制度です。

「みなし適用」を利用すると、例えば新宿区の場合…

新宿区の場合

  • 年収192万円で2歳の子どもがいる未婚ひとり親の場合、「みなし適用」により保育料が年額約32,400円安くなる。
  • 年収192万円のひとり親が学童クラブを利用する場合、利用料が年額24,000円安くなる。
  • 年収192万円のひとり親が区営住宅に入居した場合、使用料が年額44,400円安くなる。

と、いった具合に、未婚のひとり親であっても、既婚者同様の優遇が受けられるようになります!

2018年から「みなし適用」の範囲が拡大!

地方自治体レベルでは、少し前からあった「みなし適用」ですが、2018年6月からその範囲が国レベルで拡大されました

具体的には、保育料の軽減、児童扶養手当の支給基準緩和、高等訓練促進給付金の増額、難病医療費の自己負担軽減など、25の事業がその対象に。

つまり、厚労省管轄の25の事業については、住んでいる地域に関係なく、「みなし適用」の対象になったということです。

厚労省のみなし適用対象事業(厚労省資料より)

「みなし適用」を受けるには?

適用を受けるには、申請が必要です。

地方自治体固有の制度の場合

内容や基準が、自治体によって異なるので、まずは役所の「子育て支援課」「こども家庭課」などの子ども絡みの課に、どういった「みなし適用」があるのか、まずは問い合わせてみましょう

課の名前も自治体によって違うので、どこにたずねていいかわからない場合は、役所に「寡婦(夫)控除のみなし適用の窓口はどこでしょうか」と尋ねましょう。

必要な書類は、だいたいの場合、申請書・親子の戸籍全部事項証明書・印鑑。所得関係のデータは、住民税の課税の関係で既に自治体が持っており不要のケースが多いようですが、こちらも念のため、事前に確認するのが無難です。

きむら

申請書も、紙1枚くらいのことが多く、そんなに難しい書類ではないですよ!

厚労省管轄の制度の場合

「みなし適用」があるのは、25の事業です。

厚労省管轄であっても、窓口は市町村など地方自治体であることが多いです。

給付を受けたり利用したりする前に、事前に説明があるか、手続き資料の中にひっそりと申請書類があるものと思われますが、その際に、充分にわかりやすい説明がされるかどうかは不明です。

そこで、自衛のためにも25の事業にしっかり目を通して
「私の場合、このみなし適用を受けられるんじゃないかしら?」
と思ったら、とにかく、窓口に聞いてみること。

きむら

違っていたとしても恥ずかしいことではありません。とにかくこういったことは、聞いたもの勝ち・尋ねたもの勝ち!

必要な書類も地方自治体固有のものとほぼ同じですが、プラス、所得証明が必要なケースがあるようです。こちらも都度確認しましょう。

「みなし適用」についての注意点

  • 申請した結果、サービスの受給や減額の基準を満たしておらず、「みなし適用」の対象にならない場合もあります。
  • 税のほうで寡婦(夫)控除を受けている人は、既にその分所得が低くなっているので、この「みなし適用」を受ける必要はありません。
  • 現在、事実婚(籍を入れてない)夫婦の方も「あら!(・∀・)法律上は未婚だから、みなし適用を受けちゃおうかしら!」と思われるかもしれませんが、事実婚であっても、現在婚姻状態である方は、「みなし適用」を受けることはできません。

まとめ

きむら

未婚のひとり親で、寡婦(夫)控除を受けられないという方も、自治体や厚労省の支援を受ける際に、寡婦(夫)とみなして所得の判定ができる場合があります。
未婚のひとり親の方は、是非とも積極的に役所の窓口に問い合わせてみてください。
数万円から、ものによっては年間十万円単位で得することも!

ちなみに、平成31年度税制改正要望で、いよいよ未婚のひとり親に対する税法上の寡婦(夫)控除の適用についても、検討されることになっています。どうなるのか、注視していきたいです。

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