こちらの記事は、働きながら税理士試験の合格を目指される方向けです。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
今を遡ることもう20年以上前になりますが、税理士試験の官報合格直後、「私の税理士試験合格作戦 ’98年版」(エール出版社)に合格体験記を寄稿しました。
その時の原稿をリライトして、ブログ記事にしてみました。今回はその連載の4回目です。
税理士きむら
▼こちらは私が監修した書籍です。色々な仕事の仕方をしている税理士が登場します。合格後どんな税理士を目指すのか、イメージを膨らませたい方におすすめです。
科目別勉強法・財務諸表論(平成7年不合格、平成8年不合格、平成9年合格)
3回受験した事からも分かるとおり最も苦労した科目でした。
ネックになったのは理論です。
1年目は、財務諸表論の理論も税法のノリで暗記に走り、それで大失敗しました。財務諸表論の理論は前提に理解が必要で、税理士試験の勉強の中で最も学問的といえるかもしれません。最初からその点を理解して取り組むべきでした。
2年目は、簿記論で成功した実績があったので、学校に通わず独学でやりました。この独学が2年目の失敗の大原因です。理論の解釈が独りよがりになってしまったのです。
この2つの反省点を踏まえて、3年目は通学し、苦手な理論重視(理論6:計算4くらい)で勉強しました。特に理論の解釈については、学校の先生の講義で、目からポロポロうろこが落ちる思いをしました。
おかげで、理論の苦手意識もすっかり解消し、無事合格!
税理士きむら
科目別勉強法・法人税法(平成9年合格)
1回の受験で合格した科目が無かったので、受験生活の集大成として、
「法人税法は一発で受かって見せる!」
と学習開始にあたり強く決意。他の科目の経験を基に、9月から一気にダッシュしました。
税理士きむら
- 計算は難しい論点より基礎を確実に。具体的には個別問題重視で最低3回解き直し。
- 初めての受験する人が、受験経験者より理論で劣る点をカバーするため、固定資産税の2年目と同様に、理論暗記は専門学校のペースより早めに独自に回転させ、5月頃には全問回すようにする。
- 計算の本試験レベルの問題を解く練習は6月頃から開始。自分の持っている知識だけで答案を作ること、簡単な問題を落とさないことを心掛け、この段階で知らない論点が出ても、深く悩まないし、追及しない(ミニ税法と違い、範囲が広い科目は切り捨てる勇気が必要!)。
法人はこのように当たり前の事を地道にこなせば、基本に忠実な1年目の受験生が、2年目以降の受験経験者に勝つことも可能だと感じました。
私の場合、基本をやる余裕しか無かったので、災いが福に転じたのかもしれませんが…。
というわけで、法人は難解で合格しにくいと思っている方、そんな先入観は捨てちゃってください(^^)
■ スポンサー広告 ■受験生活についての補足
通学と独学を組み合わせた理由
簿記論・財務諸表論・消費税法は、基本的に1年目は専門学校通学、2年目は独学で勉強しました。
本当は全部通学したかったし、合格の近道は、やっぱり専門学校に通うことだと思います。
しかし、仕事をして複数科目を狙う場合、自習する日も確保するとなれば、通学は週2日が限界だったので、2年目の科目は独学のスタイルを選択しました。
ただし独学は避けた方がよい科目もあります。その年度の科目の選択や何を独学でするかは、専門学校や受験経験者に幅広く相談するなどして、慎重に決めました。
気分転換はどうしたのか
受験期間中は寝たり食べたりする以外、仕事と勉強のみの日々を送りました。
税理士きむら
あの頃の自分は、本当に凄かった…(と、自分でもそう思う)
「じゃあ、いつ気分転換していたの? 」とよく聞かれますが、何事ものめり込めば面白いもので、私は一度もつまらないと思ったことがないくらいこの勉強に夢中になり、趣味が勉強と学校に行くことになりました。
仕事の息抜きが試験勉強なので、勉強に行き詰まって気分転換する必要は全く感じませんでした。
結び―税理士試験の受験生活で得られるもの
このように、モーレツ受験生だった私は、数年くらい前までは、
「受験の間くらいは、自分の時間&パワーをすべて受験に費やすべき。」
と考えていましたが、今は「人それぞれかな」と考えています。
私は元々、ちょっとだらしないところがあるので、甘えを許さず逃げ道を無くしたほうが、力を発揮するタイプ。そうではなくて、適度に息抜きをしたほうが、良いパフォーマンスを発揮する人も当然いることでしょう。
ダイエットをするのに、一切間食をせずストイックな生活をしたほうが成功する人もいれば、土日は思いっきり好きなものを食べるというルールを設けたほうが、痩せる人もいるように。
つまり、連載の第1回目にも書いたように、ようは自分自身の資質を熟知し、自分をなだめたりすかしたりするのが上手な人が、受験を制するのです。
そのためには、色々な人のこういった合格体験記を読み、真似てみて、自分に合っている・合っていないを判断し、早い段階で「自分の受験勉強のスタイル」を確立することが、とても大事です。
言うなれば「受験勉強のスタイル確立のためPDCAサイクルを回す」ことが初期段階で求められるのですが、この「PDCAサイクルを回す」という習慣が、その後、仕事をしていく上でも独立開業する上でも、とても役立ちます。
これが、税理士試験を受験することで得られた宝です。だから、みなさんも残りの受験期間を、思考錯誤しながら全力で取り組んでみてください。
今、みなさんが向かい合っている受験勉強は、真剣に取り組めば取り組むほど、皆さんの将来にとって、何かしら役に立ちます。
税理士試験合格体験記(完)
インサイドストーリー(4)
インサイドストーリー(1)で思わせぶりに、
「税理士」という資格には、大学生の頃、とある因縁というか怨念があった
と書きました。インサイドストーリーの最後は、この因縁について書きます。
大学生の頃、同じ大学の1年先輩とつきあいました。が、こいつが悪い男でして・・・。
つきあい出してまもなく判明したのですが、どうも私以外に二股かけているらしい。そのもう1人のお相手も同じ大学だったのですが、彼女が目指していた資格が税理士でした。
そしてこの男、私の嫉妬心をあおるつもりか、その彼女のことを、よく話題にします。
彼
当時のきむら
それに対するカレの返答は、今でも私の脳裏にこびりついて離れません。
彼
あきらこちゃんには無理だよ…
あきらこちゃんには無理だよ…
あきらこちゃんには無理だよ…(脳内エコー再生)
彼のこの返事で私は
「ああ、こいつは、私よりも〇〇のほうを好きだな…」
と薄々悟りました。
そして、この時が、私が生まれてはじめて「税理士」という資格を知った瞬間でもありました。
(この数ヶ月後、この予想どおり、
『ごめんっ!俺、やっぱりあきらこちゃんとは付き合えない!』
と、彼は私のもとを去っていったのでした。)
その後、新卒で入社した会社を退職し、手に職をつけるべく、何の資格を目指そうか決めるときに、
当時のきむら
と、失恋の痛い思い出が、税理士を目指す要因の1つになったのでした。
さらに、時は流れて数年後。ちょうど税理士試験受験3年目くらいの時に、なぜかひょっこり、私をふった彼から電話がありました。 彼
当時の私
彼
・・・・
こいつ、私に言ったことを、まったく覚えていない!!!!!(怒)
その後、この彼とは、大原簿記学校での授業が終わったあとでお茶を飲んだりしたけれど
「税理士試験合格したら、連絡するね」
と約束し、それっきりとなりました。
なんせ当時の私は、「恋愛<勉強」だったものですからね~😎今ごろ、アイツ、どうしてるのかな…。
※ 税理士になるきっかけは、なんでもいい。そのきっかけが、いかに自分にとってバネになるかが大切…というお話でしたw
インサイドストーリーも(完)
まとめ
今日のポイントです。
税理士きむら
・法人税法は、は難しい論点より基礎を確実に。範囲が広い科目は、難しい論点を切り捨てる勇気も必要
・受験勉強のスタイル確立のため、PDCAサイクルを回そう!それが将来に役立つよ!
真剣に税理士試験に取り組んでいるすべての受験生へ、エールを送ります!
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こういった大発見は「甲殻類の研究」という、失礼ながら、地味目なことをコツコツとやって来られた方のおかげであって。。。こういう方こそ、最近私は「本当のヒーロー」だと思っている。 https://t.co/s4URFhpDE8
— 税理士きむらあきらこ(木村聡子) (@kimutax) 2019年6月5日
いやこのニュース、すごくないですか?!今までは化石でしかその存在が知られていなかった生き物が、日本で普通に生息していたなんて!
しかも、発見した人のうち1人が「企業に在籍しながら甲殻類を研究」している方とのこと。このつぶやきにも書きましたが、今の私にとって、こういった生き方をされている人は、心から「カッコいい」と思います。理想とする生き方です。