1月4日、国税庁ホームページ上に、「医療費控除に関する手続について(Q&A)」(PDF/708KB)が掲載されました。
このQ&Aは、医療費控除を受ける場合に必要な手続のうち、今までと変わった事項についての質疑応答事例になっています。
ちょっと、待って。医療費控除なんて、自分たちにとって身近な税制度じゃない!!いったいどんな部分が変わったのでしょうか?ざっくりと確認してみましょう。
税理士きむら
「医療費控除の明細書」を添付すれば、医療費の領収書の提出が不要に!
簡単に言うと、平成29年分の確定申告から、「医療費控除の明細書」を添付すれば、医療費の領収書の提出は不要になります!
おお!これは朗報!・・・と思いますか?
私は次の2つの点で、手放しで朗報とは喜べないかと。
医療費領収書の提出不要が手放しで喜べない理由
1)「医療費控除の明細書」をきちんと書かねばならない!
必ずしも朗報とは言えない理由のまず1つ目は、今まではけっこうアバウトな書き方でも許されていた「医療費控除の明細書」をきちんと書くことが要求されること。
▼医療を受けた人、病院・薬局ごとに医療費を集計して、きっちり書かねばなりません。
(国税庁資料より)
ただし、健保組合等が発行する「医療費のお知らせ」などの医療費通知を添付すれば、明細の記入は省略できます。
税理士きむら
2)提出しなかった領収書は5年間保存!
必ずしも朗報とは言えない理由の2つ目ですが、領収証を提出しない場合は、医療費の領収書を5年間保存する必要があります。
事業所得者などは、経費の領収証等と一緒に保管すれば良いのですが、サラリーマンの方など今まで領収証等を保管するという習慣が無かった方は、うっかり紛失してしまいそう…。気をつけましょう。
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納税者
こんな方もいらっしゃるかな?
でも大丈夫。平成29年分から平成31年分までの確定申告については、従来どおり医療費領収書を添付(又は提示)する方法でも受け付けてもらえます。
そして平成32年の医療費控除からは、完全に「医療費明細書を提出し、領収書は自分で保存」ということになります。
まとめ、つぶやき、あるいは編集後記
というわけで、税務署の書庫はペーパーレスになるけれど、そのしわ寄せが納税者にくるような改正でした!ま、いずれはマイナンバーカードに集積された医療費のデータを利用して申告するようになるのだと思います。
税理士きむら