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被災地へ寄付をする時に知っておきたい基礎知識

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

このたびの北陸の豪雪災害に遭われたみなさまには、慎んでお見舞いを申し上げます。

日本はどこでも災害が起こる可能性があり、他人ごとと思えず、被災地に寄付をしたいという方もいらっしゃることでしょう。そんな時、いくつか疑問がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

税理士きむら

被災地へ効果的な寄付の仕方は?税制優遇措置は?寄付する上で参考になりそうな事項をまとめてみました。

被災地に寄付をする際の疑問

義援金とふつうの寄付金って、何が違うのかしら?
どこに寄付するのが、被災された方にとって一番効果的なんだろう?

義援金だと、ふるさと納税(住民税の減額)は受けられないのかな?

被災地へ寄付をするとき、こんな疑問、ありませんか?

「義援金」「寄付金」の違いを理解し効果的な寄付を!

義援金と寄付金の違い

最初に、地方自治体(都道府県や市町村)に対する「義援金」と「寄付金」の違いから解説します。簡単に言うと、使途に違いがあります。

「義援金」…使途が被災者の方々へのお悔やみや応援、生活費用などに使われる
「寄付金」…使途は限定されない(地方自治体の自由)

被災者に直接届けたいという気持ちが強いのであれば「義援金」を選ぶといいですよ!

ただし、復興には、行政によるハード(道路や設備等)の再建も必要です。

税理士きむら

災害後、最初のうちは義援金で、あとのほうになったら寄付金で支援するなど、両者をバランスよく寄付することをおすすめします。

義援金の寄付は、どこを通してするのがよいか

義援金を寄付する際は

  1. 被災した市町村への寄付
  2. 被災した県への寄付
  3. 赤い羽根共同募金や日赤などの募金団体への寄付

の3つが考えられます。

被災者へすぐ届くことを考えるならば、①です。

②の場合は、県から被災市町村へ配分された後、被災者に届くことになります。

③の場合は、義援金配分委員会等にとりまとめられた後、県に配分され、次に県から被災市町村に配分され、その後市町村が被災者に配分されます。

被災者に届く速さだけ考えれば、①→②→③の順番です。

ただし、①や②の場合、デメリットがあります。それは、被災者に平等に寄付が行きわたらないということです。

例えば、福井県に寄付をすれば石川県の被災者はその恩恵を受けることはできません。特定の市町村に寄付すれば、他の市町村の被災者には寄付は届かないことになります。③の募金団体へ寄付すれば、被災された方にまんべんなく行き届くことになります。

また、募金団体に寄付をすると「行きわたるのに時間がかかる」と懸念される方もいらっしゃるかと思いますが、復興には長い時間がかかります。あとで行きわたっとしても、効果がないわけではありません。

そこで、寄付する額の半分は、故郷や思い入れのある市町村に寄付をし、半分は募金団体に寄付をするなど、こちらもバランスを考えて寄付をすることをおすすめします。

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どういうタイミングでどう寄付するのが被災者にとって効果的か

災害直後は被災地で活動している団体への寄付がおすすめ

「義援金」「寄付金」は、自治体や団体が間に入るので、被災者がその恩恵を受けるまでには多少なりとも時間がかかります。

そこで、災害が起きた直後は、被災地で活動を行う団体や機関(NPO・NGOなど)への支援金がおすすめです。

救助・医療・物資・食料・メンタルケア等、被災者を様々な面で支える活動する団体を「活動資金の供与」という形で支援することになるので、即効性があり、かつ、直接的な寄付といえます。

このような順番で寄付をしよう!

まとめると、被災地への寄付は

  1. 災害直後は被災地で活動を行う団体や機関へ寄付
  2. 次に、故郷や思い入れがある市町村(もしくは都道府県)と募金団体に、義援金として寄付
  3. 復興には長期を要するので、その後は寄付金として少額でも定期的に寄付

こうするのが、バランスが良く効果的です。

被災地への寄付と税金

ふるさと納税

地方自治体への寄付が住民税納税額の一部とされることで人気のふるさと納税(住民税の特例控除)。すっかり身近な節税策として、浸透してきました。

このふるさと納税と、被災地への寄付との関係についてお話しします。

都道府県や市町村に対する寄付金や義援金

ふるさと納税の対象になります。

日赤や赤い羽根などの募金団体への義援金

最終的に被災地や義援金配分委員会等に拠出されることが募金要綱や趣意書等で明らかにされていれば、ふるさと納税の対象になります。

そこで「被災した県や市町村にふるさと納税の事務で手を煩わせるのもなんだから、募金団体に寄付してふるさと納税を受けよう」という考え方もアリかと思います。

注意
ただし、募金団体へ寄付は、ワンストップ特例(ふるさと納税申告不要制度)の対象ではないので、確定申告が必要になります。

お礼品

ふるさと納税は、お礼品がもらえることで人気ですが、義援金(被災者支援を目的とするもの)の場合、通常はお礼品はつきません。

義援金ではない自治体への通常の寄付でも、被災直後はお礼品がつかないこともあります。

そしてお礼品が再開されたとしても、自治体の負担を考え、辞退することが可能です。

【参考記事(旧ブログ)】

ふるさと納税がダメでも、寄付金控除の対象となるもの

「支援金」は団体や機関(NPO・NGO)に対する寄付ですから、ふるさと納税(住民税の特例控除)の対象にはなりません。

ただし、寄付先が認定されている団体であれば、所得税の寄付金控除や住民税の基本控除を受けることが可能です。

いずれにしても、寄付をしたら確定申告に備えて領収証等はしっかりとっておくようにしましょう!優遇措置を受けるために必要な書類ですし、どの税制優遇措置を受けられるか、専門家が見ればわかるヒントが記載されています。

まとめ(図表)

税理士きむら

寄付金の流れや使われ方を理解すると、納得のいく寄付ができます!この記事が少しでもお役に経てば幸いです。