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不動産の取引日はいつになる?原則か例外かで税額が変わることも!【確定申告】

時間・行動・お金をコントロールする術を、ブログでお伝えしています。税理士で逆算手帳・認定シニア講師のきむら あきらこ(@kimutax)です。

個人が不動産を 売却(譲渡)した場合、その不動産の保有期間が、短かければ高い税率で、長ければ低い税率で、税金が課されます。

きむら

保有期間の判定で重要なのが、不動産の取得や譲渡の取引日。そこで取引日がいつになるのか、解説してみました。

不動産をいつ買ったか・売ったかは大問題!

今回は、所得税の計算をする時に「不動産の売り・買いの時期がいつになるのか」というおはなしです。

というのも、個人の税務において、不動産の譲渡や取得を行った時期の認識は、税務上とっても重要なポイントだから!

まず、不動産を売った年は、所得や税額に与えるインパクトが大きいので
「去年契約して手付を払い、今年引き渡した」
といったような年をまたぐ取引があった場合、譲渡所得の申告が今年分になるのか来年分になるのか、非常に悩ましいですよね。

また、期間の定めがある譲渡所得に対する優遇措置の適用を受けたい場合などにも、不動産の取引の時期がいつになるのかは、とても重要な問題です。

保有期間が短期か長期かで変わる不動産譲渡の税率

そして、不動産を買った・売ったの時期が重要な最大の理由は、保有期間に応じて税率が変わるから!

不動産を売却(譲渡)した時に課せられる税金の税率ですが、ざっくり言うと、短期の不動産保有には高い税率が、長期の保有には低い税率が課されます。

短期保有不動産の譲渡は、取引自体が金もうけや土地転がしの元凶になり、投機的意味合いが強いことから、高い税率となっています。

これに対して長期保有不動産の譲渡は、居住用や事業で使用していた不動産の譲渡であることが多いので、低い税率となっています。

何をもって「短期」と「長期」に分けるかですが、譲渡したその年の1月1日における所有期間が5年以下である場合は短期、5年超の場合は長期となります。

不動産の取引日の【原則】と【例外】

さて、ここからがいよいよ本題です。

まず、下の図をご覧下さい。不動産の取引日(売り買いの日)は、税務上、どの時点で認識すると思いますか?

【原則】「引き渡しの日」が不動産取引が行われた日

所得税では、譲渡や取得(取引)があったと認識するのは、原則、引き渡し時です。

資産の引渡しがあった日とは、資産の譲渡当事者間で行われる、その資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合には、所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定します。

【例外】「契約の効力発生の日」をもって取引日とすることもできる!

ただし所得税では例外として、納税者の選択により、その資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(一般的に売買契約締結の日)を取引日とすることも認められています。

ただし、その契約内容に「停止条件」が付されている場合には、契約効力発生日を取引日とすることが認められない場合があるので注意が必要です。

停止条件付契約とは?
例えばA土地の譲渡契約に「B土地を取得することができたらA土地を譲渡する」といった表記があったとします。契約効力の発生日は、売買契約締結の日ではなく、B土地を取得することができた日もなります。

また、新築マンションの購入のように、契約日に建物が存在していなかった場合も、契約日をもって譲渡日とすることはできません。

注意
不動産の売買の契約の成立については、判例で、売買契約書で定められた手付金の授受がされていない場合は、売買契約の成立要件が満たされておらず、契約が私法上成立していない、という考え方が示されているので、契約の効力発生の日の判定については、契約書の契約日とされている日だけを確かめるのではなく、手付金の支払い条項の有無、それが有る場合はその履行の有無を確認することも必要です。

ここまでマスターできましたか?それではケーススタディです。

譲渡日の判定に【例外】を使うと有利なケース

今年で期限が切れてしまう譲渡所得に対する優遇措置(措置法)があったとします。もしくは、来年から税制改正で、税率がアップしてしまう…なんてことがあったとしましょう(実際に最近、復興特別所得税の導入なんてこともありました)。

今年売買契約を締結し、引渡しが来年になってしまう場合、【原則】を適用すれば譲渡の時期が来年となってしまうので、税金が高くなってしまう!

こういった場合、契約基準を選択することで、年内で期限が切れてしまう時限立法の適用を受けたり、低い税率で申告することが可能になる場合もあるかもしれません(相手へ引き渡すことが要件だったら、ダメですが)。

ただし、先におはなししたように、停止条件付の契約の場合には、契約日=譲渡日とすることができない場合があります。くれぐれもご注意を。

取得日の判定に【例外】を使うと有利なケース

(取得)平成23年10月に契約、平成24年3月に引渡しを受けた
(売却)平成29年の2月に引渡し譲渡した

この場合、長期の譲渡になるか・短期の譲渡になるかは、平成29年の1月1日現在の保有期間をもって判定します。

【原則】を適用し、平成24年3月の引渡し日を取得日とすれば、保有期間は5年以下となり、短期譲渡所得となり、高い税率が適用されてしまいます。

しかし、【例外】を適用し、平成23年10月を「取得の日」とすると、保有期間は5年超となり、長期譲渡所得とすることができます。

保有期間5年以下の場合には、契約日や引渡し日をよくよく確認し、保有期間を長めにできないか検討してみましょう。

まとめ

不動産に関する税務については、「引渡し日イコール譲渡(取得)日」と思い込まず、場合によっては契約日を譲渡(取得)の日とすることができることも、覚えておきましょう。もしかすると、あなたの税額が低くなるかもしれません!

きむら

購入した不動産を売却する場合、取得時期・契約日、譲渡時期・引き渡し日とするなど、取得と譲渡で判定の基準を変えることも可能です。