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自宅の家賃・光熱費・駐車場代を、経費で落とすコツ【確定申告】

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

確定申告の時期、仮計算をしてみたところ

あちゃー、思ったより所得が大きいな。税額がキツイな。

とお感じの、フリーランサーの方向けの記事です。

税理士きむら

自宅の家賃や光熱費、経費にしてますか?事業で使っている分は「あん分割合」を決めて、堂々と経費に入れちゃいましょう!

自宅の家賃や光熱費、事業で使っている分は経費になります!

あれ?なんでこんなに儲かってるんだ?もう少しコストがかかっている感じがするんだけど。。。

あなた、ちょっと損益計算書見せて…。あらやだ!家で仕事してるのに、家賃も水道光熱費も経費に入れてないじゃない!
確かに自分の書斎なんて、100%仕事部屋だもんな。でも、お前や子どもの部屋もあるから、家の家賃は経費として認めてもらえないんじゃないか?

ちょっと待ってください!
確かに、全部は経費になりませんが
ポイントをおさえて正しく処理をすれば
ちゃんと自宅の費用も経費にすることができますよ!

今回は、自宅の家賃や水道光熱費を安心して経費にするためのポイントについてお話しします。

家賃の経費割合(あん分割合)を賢く決めよう

自宅の家賃は、事業に使っている分は、経費とすることができます。

ただし、「事業に使っている分」を計算するのに、経費割合=あん分(按分)割合を決めなくてはいけません。

あん分割合は、床面積、利用時間、どちらにするのがいいのですか?

税理士きむら

実態に即していれば、どちらでも大丈夫ですよ。でも、部屋が仕事にしか使えないような状態であれば、床面積で決めたほうがシンプルだし、集計の手間も省けるんじゃないでしょうか。

そして、このあん分割合を決める時に、一番気をつけなくてはいけないこと。例えば税務調査で

調査官

なぜ、家賃のあん分割合が、30%なんですか?
同業者仲間が「だいたい30%くらいだろ」って言うから、そうしました!

これはいけません!あん分割合を「なんとなく」「それくらいが相場かと思って」と説明するのがいちばんマズイです。

模範解答例はこんな感じです。

1室をほとんど事務所として使っている場合

自宅の面積が80㎡です。そのうち、私の書斎部分が20㎡です。ホラ、間取り図をご覧ください。実際に書斎見ます?ほとんど仕事場に使っているでしょ?だから、家賃の25%を経費に入れてます。

応接室を時たまセミナーに使っている場合

自宅の面積が100㎡です。そのうち応接室が30㎡です。私はここで平均して週に3回、セミナーを開いています。セミナーを1日やると、応接室はその日は他の用途にとても使えません。だから、家賃の13%(30㎡/100㎡×3日/7日)を経費にしています。

こ、細かい!!でも、説明が間取り図や使用実態と合っていて、これくらいのち密さで根拠を言えれば、税務署も納得してくれますよ。

ポイント1
面積と使用実態に合わせてち密にあん分割合を決めて、家賃×あん分割合を経費にしよう!
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水道光熱費のあん分割合の決め方

では、家賃と同じように、自宅の水道光熱費も25%を経費にしよう。

税理士きむら

ちょっと待った!そもそも事業に水道やガス、使ってます?

水道光熱費を、そっくりそのまま家賃と同じ比率であん分して経費に入れる方がいらっしゃいますが、まず、「自分の事業に使うものだけ、経費になる」という原則に立ち返りましょう。

水道やガスなんて、業種によったら、お客さんにお茶を出すときにしか使いませんよね。逆に電気は、かなりの割合で事業に使っていませんか?

なるほど。自宅の電気は昼間は僕だけが仕事で使っているようなもんだしな。よし、水道代とガス代はゼロ電気代は平均週間使用時間から割り出したあん分割合45%を経費にしよう。

ポイント2
水道光熱費は、家賃と同じ割合にしないように!①事業で使わない費用は入れない、②説得力ある根拠であん分割合を決める。この2つがポイント!

引越し費用、礼金、仲介料も考え方は同じ

引越し費用

自宅兼事務所の引っ越しをしたとしましょう。引越し費用や、礼金・仲介料は経費になるのでしょうか?

まず、ギモンに思ったら、

「事業に関連するものだけ、経費に入れられる」

というシンプルな原則に立ち返りましょう。事務所の書類や什器備品を運んだ分は、もちろん経費になります。

税理士きむら

引越し業者の方に分けて見積りを出してもらったり「だいたい何割くらい事務所部分の引っ越しでしたかね?」と聞いた上で、事務所部分とプライベート部分を分けて領収証をもらうといいですよ!

礼金や仲介手数料、更新料

礼金や仲介手数料も、事務所分(家賃と同じあん分割合を掛けた金額)は経費にすることができますよ!

ただ、気をつけなくてはいけないのが「礼金」です。

礼金は20万円未満(あん分前の支払金額)であれば、一発でその年の経費にできますが、20万円を超える場合は、5年間もしくは賃借期間で減価償却をします。

ついでに更新料はどうなるのかな?

税理士きむら

更新料は礼金と同じ処理になります!
経費にできる礼金・更新料の額
  • 20万円未満の更新料…支払額×あん分割合
  • 20万円を超える更新料…5年間もしくは契約期間で計算した減価償却額×あん分割合

 

ポイント3
引越し代も事業用の書類や什器備品を運んだのであれば、その分は入れられます。礼金や仲介料も、家賃と同じあん分割合で経費にできまぬ。礼金や更新料は、あん分前の金額20万円超で減価償却しなくてはならないから、気をつけて!

共益費や駐車場は?

共益費は、家賃と同じあん分割合で経費に入れて構いません。共益費は家賃に付随しているようなものなので。

駐車場代のあん分割合は、家賃や共益費とは別に考えましょう。理由は水道光熱費と同じで、事業で車を使う割合が、自宅の使用割合と必ずしも一致しないからです。あくまで使用実態であん分割合を決め、経費に入れるようにしましょう。

車はほとんど仕事にしか使ってないよ。プライベート利用は。たまに子どもを駅まで送り迎えするくらいだ。

という場合でも、まったくプライベート利用がゼロというわけではないので、100%経費に落とさず、10%くらいは自己否認する(事業割合を90%とする)のが、税務調査で揉めないコツです。

ポイント4
自動車の事業に使用する割合は自宅の使用割合と違うはずだから、駐車場代を経費にする場合は別なあん分割合を設定しよう!個人の車の場合、100%落とすのは、ちょっと厳しいことも覚えておいてね。

まとめ

税理士きむら

家賃でも光熱費でも、事業に関わっている分は堂々と経費に入れちゃってください!経費にしたら、税務調査では「どんぶり勘定で入れてません!」「ち密にあん分割合を決めてます!」という姿勢が大事。あん分割合を決めた根拠も、しっかり残しておきましょう。