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税法用語の意味がわかるブログ(2)「所得控除・税額控除」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第2回目です。

税理士きむら

私が税務会計業界に入った当初の記憶を思い起こしながら、「え!こんな意味なんだ」と違和感を感じた税法用語の中から、これを覚えておくと税法の知識が深まるというものをピックアップして、解説しています。

「控除」の勘違いあるある

私が税務会計業界に入る前、まだ、税金シロウトだった頃のエピソードです。

ご存知のとおり、医療費が多くかかった年は、確定申告をすれば税金が戻る制度があります(医療費控除)。

去年支払った医療費の額から、10万円を引いた額が、控除されるんだって。

友人

昔の私

と、言うことは、去年かかった医療費は16万円だから…。ラッキー! 6万円(16万円-10万円)税金が戻ってくるんだ!

ところが、実際に確定申告のてびきに沿って計算をしてみたら、戻ってくる税金の額は、たったの数千円!なんともガッカリしたものです。

今回お話しする所得控除」「税額控除は、このエピソードに関係する税法用語です。

「所得控除」と「税額控除」の違い

税金には、計算上のルールや特典として、各種の控除があります。

言葉のイメージどおり、「控除」はある金額から一定の金額を差し引くことを意味します。

みなさんはこれから「○○控除」と名のつく税法用語に出会ったら

「これは、税率を掛ける前に控除するものなのか?税金の額そのものから控除するものなのか?」

を、確認するようにしましょう。

と言うのも、「○○控除」には2種類あって、「所得控除」は、前回お話しした課税標準、つまり、税額のベース(もうけなど)を小さくする効果があります。

一方「税額控除」は、税金の額そのものを減少させます。

身近な所得税の例でお話しすると、冒頭のエピソードの医療費控除以外に、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除は「所得控除」、住宅ローン減税は「税額控除」です。

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所得控除による減税額は「その所得控除の額×税率分」

たとえば一般の扶養控除の控除額は、38万円です。これは個人の「所得」からマイナスされる金額。

「扶養家族が1人増えたから、38万円税金が少なくなる!」

と思ったら、私のエピソードのカン違いと同じこと。

「所得控除」の場合、税金が少なくなる効果は、「その所得控除の額×税率分」であることを、覚えておきましょう。

税額控除は、もともとの税額を限度とする

一方「税額控除」は、直接的に税金を減少させる効果があります。

そして、税額控除で注意したいのは、税金をマイナスする効果は、もともとの税額を限度とするということです。

例えば、もともとの税額が15万円で、税額控除額が20万円の場合、15万円-20万円=▲5万円で5万円還付になるというわけではありません(仮払いしていた税金が戻るケースは除きます)。

「所得控除」も所得(もうけ)以上には引けないのですが、「税額控除」については特に「引ききれない額は還付されるのか?」という質問が多いので、ここで改めてお話しさせていただきました。

1と今回のポイントを図表にしてみました。

まとめ

税理士きむら

税金の「◯◯控除」には「所得控除」と「税額控除」があります。所得控除は税率を掛ける前の段階での控除なので、「控除額×税率」分の減税効果があります。「税額控除」は税金の額そのものを減少させる効果があります。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。