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税法用語の意味がわかるブログ(8)「青色申告」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第8回目です。みなさんがお勤めになっているところや経営している企業は、「青色申告」の法人であったり個人事業者であったりすることでしょう。

きむら

この身近で当たり前すぎる「青色申告」という言葉。こういう用語ほど、案外その内容を正確には知らなかったりするものです。
そこで今日は、税法用語「青色申告」についてお話しをします。

青色申告とは

青色申告とは、法人や、不動産所得・事業所得または山林所得が生じる個人に認められている申告制度のことです。

申告をする際に青色の申告用紙を用いて申告することからこう呼ばれていますが、どうも「正確な申告=クリーンなイメージ=青色」ということで青の用紙を用いることとなったようです。

ちなみに、電子ではなく紙で申告を出す場合、現在の所得税申告用紙は、青色の用紙は使っていません。また、青色申告法人が、白い紙に印刷して申告書を出したとしても、まったく問題はありません。

なので、「青色申告=青い申告用紙」というのは、かなり古いイメージになりました。

青色申告の適用を受けたい場合には、事前に税務署長の承認を受けておくことが必要になります。

青色申告の要件と義務

ただし、どんな法人・個人でも承認申請すれば青色申告できるようになるというわけではありません。

適用を受けるための「要件」と、青色申告法人となった後は「義務」があります。

まず、一定の帳簿書類を備え付けていることが承認際の「要件」になります。そして複式簿記等の手法に基づいて帳簿を記載し、その記帳から正しい所得や所得税及び法人税を計算して申告することが「義務」になります。

従って、この「要件」や「義務」を守らなかった場合――帳簿等の記帳保存義務を守らなかったり、相当な虚偽の記帳をした場合には、青色申告の承認は取り消されます。

また法人は、申告書を2期連続で期限内に提出しなかった場合は、青色申告の承認が取り消されることになります。

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青色申告のメリット

このように青色申告とは、記帳に基づいてまじめに申告する納税者と、記帳をしないで申告する納税者を税務署が区別するために設けた制度といえます。

そして、記帳という「義務」は課すものの、その手間に対して各種税制上のメリットも用意されています。

代表的な青色申告のメリット

法人(会社) 個人
給与 事業専従者の働きに見合った金額の給与を、必要経費にできる(届出必要)
青色申告特別控除 ・複式簿記で65万円控除
・簡易簿記で10万円控除
赤字の繰越し 最長で9年間、全額控除されるまで繰り越せる(注) 最長で3年間、全額控除されるまで繰り越せる
損失の繰り戻し 中小企業者等は欠損金について前年分の所得に対する税額から還付を受けられる 純損失について前年分の所得に対する税額から還付を受けられる
その他 減価償却の特例や、各種税額控除を受けることができる

(注)平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年

つまり、事業主の方や経理担当者がせっせと行っている経理や会計処理のおかげで、青色申告の企業は様々なメリットを受けているのです。経理・会計担当の皆さん、胸を張りましょう!

まとめ

きむら

青色申告の承認申請書を出すことにより、法人・個人は、青色申告で申告書を提出することができるようになります。
青色申告は複式簿記等での記帳が義務付けられますが、その見返りとして、数々の税制上のメリットを受けることができます。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。

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