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「会社標本調査」 から標準的な交際費の額を知る方法

こちらは、適正な交際費の支出額を知りたい中小企業の会社経営者、経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

税理士という仕事をしていて、よく受ける質問の1つに、会社の交際費の適正額に関する質問があります。

そこで今回は、税務統計を使って適正額を知る方法について、解説をしてみました。

税理士きむら

「税務署に目をつけられない適正額を知りたい」
という方のご参考になれば幸いです。

平成29年度分「会社標本調査」 調査結果が公表されました

6月19日、国税庁ホームページに、平成29年度分「会社標本調査」 調査結果がアップされました。

この統計調査についての概要はこちら。

本調査は、我が国の法人企業について、資本金階級別や業種別にその実態を明らかにし、併せて租税収入の見積り、税制改正及び税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的として実施しているサンプル調査。昭和26年分以降、毎年実施しており、今回が第68回目。

平成29年度分調査結果は、活動中の内国普通法人について、平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間に終了した各事業年度を対象として、平成30年7月31日現在で取りまとめたもの。

本年度調査におけるサンプルは約177万社。(母集団数約271万社)

平成29年度分「会社標本調査」 調査結果について|国税庁より)

税務申告書や添付された決算書をもとに集計した、かなり確度の高い統計です。

統計データは、こちらから一括ダウンロードできます。

平成29年度分統計表 一括ダウンロード(PDF/4,434KB)

「会社標本調査」は交際費の適正額を手っ取り早く調べるのに有用

この統計表、色々と見所はあるのですが、ちょっとその面白い使い方をご紹介します。

私が税理士という仕事をしていて、よく受ける相談の1つが、会社の交際費の適正額に関する質問です。

交際費って、どれくらい使えるもんですかね?適正額はどのくらいなんでしょう?

社長

それに対する答えは、ぶっちゃけますと次のとおり。

税理士きむら

交際費の適正額は一概には言えません。事業に必要な交際費であれば「使った額が適正額」ですよ。

ただ、こう答えるだけでは元も子もないので、「業界の適正額を知りたい」という意図であれば、政策金融公庫が出している統計を参考にしては?と答えるようにしています。

さらに「税務署に目をつけられない適正額を知りたい」という場合には、この税務署の統計を参考にするといいでしょう。

この統計の趣旨そのものが「税務行政の運営等の基礎資料」とうたっているので、この平均値を大幅に逸脱していれば、税務調査に入られる確率は高まるでしょうし、調査の際に交際費を厳しくチェックされることは、容易に想像できます。

それでは、具体的にどうやって、「交際費の適正額」を算出すれば良いのでしょうか。税務署の統計から算出する2つの方法をお伝えします。

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業種と資本金額等から交際費の適正額を算出

まずは業種・資本金額等から、交際費の適正額を算出する方法です。

STEP.1
統計表を入手
平成29年度分統計表にアクセスするかダウンロードします。
STEP.2
交際費のページへ
117ページ(PDF上は121ページ)の「第6表 寄附金、交際費等」を開きます。そこから先は、業種等の別に統計が分かれています。
STEP.3
自社の業種のページへ
自社の業種の統計ページを開きましょう。
平成29年度の統計では、次のようになっています。

農林水産業(117ページ、PDF121ページ)
鉱業(118ページ、PDF122ページ)
建設業(119ページ、PDF123ページ)
繊維工業(120ページ、PDF124ページ)
化学工業(121ページ、PDF125ページ)
鉄鋼金属工業(122ページ、PDF126ページ)
機械工業(123ページ、PDF127ページ)
食料品製造業(124ページ、PDF128ページ)
出版印刷業(125ページ、PDF129ページ)
その他の製造業(126ページ、PDF130ページ)
卸売業(127ページ、PDF131ページ)
小売業(128ページ、PDF132ページ)
料理飲食旅館業(129ページ、PDF133ページ)
金融保険業(130ページ、PDF134ページ)
不動産業(131ページ、PDF135ページ)
運輸通信公益事業(132ページ、PDF136ページ)
サービス業(133ページ、PDF137ページ)
企業組合、医療法人(135ページ、PDF139ページ)

STEP.4
自社の規模等と合うところをチェック
次に、自社の黒字・赤字の別、資本金の額を基準に統計をチェクします。
▼サービス業で資本金が1千万円、単年度黒字決算が見込まれる会社であれば、ココを見ます。

STEP.5
1社あたりの支出額を算出する
金額÷法人数で1社あたりの平均支出額を出します。
134,862百万円÷66,035社=2.04百万円
年間200万円程度の交際費の支出であれば、平均的ということになります。

 

売上高から交際費の適正額を算出

次は、売上高から交際費の適正額を算出する方法です。

STEP.1
業種別の交際費等支出額のページへ
21ページ(PDF上は25ページ)の「第15表 業種別の交際費等支出額」を開きます。
STEP.2
営業収入10万円当たり交際費等支出額をチェック
自社の業種の営業収入10万円当たり交際費等支出額をチェックします。
▼サービス業の場合、463円になります。

STEP.3
自社の売上高と当てはめる

自社の売上高に当てはめた場合にいくらになるか計算します。
当期の予想売上を使うといいですが、予想売上がわからない場合は、とりあえず前期の売上高で計算してもいいでしょう。
【例:売上高が1億円の場合】
1億円÷10万円×463円=463,000円
年間46万円程度の交際費の支出であれば、平均値ということになります。
な、なんだか少ないな、おい。

社長

そうなんです。こちらの方が手っ取り早く計算できますが、算出された額を見ると、いささか少なく感じることでしょう。

こちらは、色々な規模の会社・赤字黒字会社すべて合算した統計だから、そう感じるのでしょうね。

まとめ

以上、交際費の適正額を税務統計から知る方法でした!

業種と資本金額等から交際費の適正額を算出する方法のほうが、実態に近い額が出るかな?という感じがします。あくまで感覚的な感想ですが。

とはいえ、冒頭でお話したとおり、事業に必要な交際費であれば「使った額が適正額」です!ようは使途を明確に説明できるようにしておくことが、交際費の税務では一番大事です。

税理士きむら

交際費の額が今回の方法で計算した適正額の範囲内であっても、使途が不明確であったり、私的な費用を交際費としていれば、額に関わらず否認されてしまいますよ。

額よりも内容が大事ということを、心得ておいてくださいね!

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