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仮想通貨は評価方法の届出を忘れずに!総平均法・移動平均法、あなたならどうする?

こちらの記事は、個人で仮想通貨の売買をされている方向けです。

税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

これまで、仮想通貨を売却した時の取得価額(売却原価)の評価については、「移動平均法がよい」とされてはいたものの、法令ではっきりと定められていませんでした。

そこで、31年度税制改正でその扱いが明確化され、「総平均法」または「移動平均法」で評価することとされました。

また、今後、仮想通貨を取得した場合には、評価方法を選定し届け出をすることも定められました。

きむら

選定のためには、それぞれの評価方法の違いを理解する必要があります。2つの評価方法について、詳しく見ていきましょう!

「総平均法」「移動平均法」とは?

「総平均法」とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の購入金額合計を1年間の購入数量合計で割り、1年間の仮想通貨の平均購入金額をもって、単位あたりの取得価額(売却原価)とする方法です。

対して「移動平均法」とは、仮想通貨を購入する都度、単位あたりの取得価額(売却原価)を算出する方法です。

こう書いても、ちょっと具体例がないと、わかりづらいですよね。

では、取引例を用いて計算方法を解説しましょう。

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取引例

2019年の年間取引は、次のとおりでした。

① 1月11日 1キムラコインを300万円で購入
② 5月6日 1キムラコインを200万円で購入
③ 6月9日 1キムラコインを350万円で売却
④ 7月15日 1キムラコインを250万円で売却
⑤ 9月13日 1キムラコインを100万円で購入

総平均法の場合

仮想通貨の単位あたりの取得価額(売却原価)
(300万円+200万円+100万円)÷3キムラコイン=200万円になります。

2019年の仮想通貨売却による所得(もうけ)
収入(350万円+250万円)−原価(200万円×2キムラコイン)=200万円になります。

この200万円を雑所得※として、確定申告をすることになります。

移動平均法の場合

仮想通貨売却時の単位あたりの取得価額(売却原価)
(300万円+200万円)÷2キムラコイン=250万円になります。

2019年の仮想通貨売却による所得(もうけ)
収入(350万円+250万円)−原価(250万円×2キムラコイン)=100万円になります。

この100万円を雑所得※として、確定申告をすることになります。

同じ取引でも、総平均法だと、100万円も所得が多くなっている!

びっくりですよね。

では、次はそれぞれのメリット・デメリットの話にうつります!

きむら

評価方法を選定する前に、メリ・デメをしっかり理解する必要がありますからね!
「雑所得」について
国税庁のタックスアンサーを読むと、仮装通過を売り買いしたことで生じる所得については、「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます」と書かれていて、場合によっては事業所得としてもよさそうなニュアンスです。
しかしながら、投資目的や副業レベルで仮想通貨取引を行っているのを事業所得とするのは、「とてもハードルが高い」と、心得ておいていただければと。

それぞれのメリット・デメリット

総平均法

メリット
  • 計算が簡単
デメリット
  • 期末まで所得が確定しないので納税資金の確保に支障をきたす

移動平均法

メリット
  • 所得を売却のたびに計算して把握することができるので、所得の見積もりや納税資金の確保がしやすい
デメリット
  • 購入のつど計算が必要

結局、どちらがいいの?

お互い、メリットの裏返しがデメリットだということが、おわかり頂けるかと。

その上で、どちらが良いかといえば、移動平均法ではないでしょうか。

(購入のつど計算するのが『デメリット』といっても、Excelやソフトを使えば、さほど大変ではありません。)

理由は、仮想通貨売買の所得を随時把握できることと、総平均法のほうが経済的実態に合致している(=自分が『仮想通貨でこれだけ儲けた』という実感と一致しやすい)ことにあります。

たとえば、相場が上昇傾向にある場合、総平均法を使うと、時価が上がった仮想通貨の購入をすることで取得価額も上昇するので、所得が少なくなります。

おっ!それって、いいことじゃないの?

きむら

うーん。でも、儲けを圧縮するために、わざわざ高い仮想通貨を購入するってどうなんでしょうか?投資対象にはお値打ち感のあるときに手を出すべきという、投資の原則に反してませんかね。

逆に、相場が下降傾向にある場合、総平均法だと、時価の下がった仮想通貨を購入することで取得価額も下降するので、所得が大きくなってしまいます。

「取引例」で、総平均法だと100万円所得が大きくなったのは、これが原因です。

このように総平均法を使うと、相場の上下に左右され、自分の裁量で売買した結果が所得に反映されにくくなります。

多少計算が面倒でも移動平均法をおすすめするのは、そのためです。

MEMO
総平均法と移動平均法は、単年度で見ると計算結果が異なりますが、今年+来年+再来年…と将来にわたって生じる仮想通貨の所得を通算すれば、所得金額は必ず一致することになります。
つまり、もしも同じ年の中で、購入した仮想通貨を全部売り切ったとしたら、総平均法でも移動平均法でも、所得金額は一緒になるということです。
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評価方法の届出手続きと、変更の手続き

それぞれの評価方法の特徴を把握し、評価方法を何にするか決めたところで、いよいよ届出をします。

所得税の仮想通貨の評価方法の届出手続

仮想通貨を新たに取得、または、今まで取得している仮想通貨と種類が異なる仮想通貨を取得(※)した場合は、その取得日が属する年の確定申告期限までに提出します。


きむら

※つまり、仮想通貨の種類ごとに異なる評価方法で評価することが可能です。

提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、そのの翌日が期限になります。

申告書等の提出期限が土日祝の場合の取り扱い〜「期限が延びるもの」と「延びないもの」

たとえば、今年(令和元年・2019年)仮想通貨を取得した場合は、令和2年3月16日までに届出書を提出する必要があります。

また、この届出の規定は、改正で今年新設されたものなので、平成31年4月1日の時点で既に仮想通貨を保有している場合には、平成31年4月1日にその仮想通貨を取得したものとして、令和元年分の確定申告期限(令和2年3月16日)までに届出書を提出する必要があります。

きむら

つまり、昨年以前から仮想通貨を保有している人も、評価方法を決めるのは、令和元年分の確定申告期限まででOKということです。

所得税の仮想通貨の評価方法の変更承認申請手続

選定した仮想通貨の評価方法は、変更をすることができます。

変更する場合には、変更しようとする年の3月15日までに、変更承認申請手続を提出します(提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります)。

申告書等の提出期限が土日祝の場合の取り扱い〜「期限が延びるもの」と「延びないもの」
注意
期限が「変更しようとする年分の確定申告期限」ではないのでご注意を!評価方法の届出手続とは期限が違います。

ただし、変更にあたっては条件(審査基準)があります。

  • 現在の評価方法を採用してから(原則として)3年を経過して申請書を提出しているか
  • 変更しようとする評価方法によっても所得金額の計算が適正に行われるか

事実上は「3年経過基準」を重視して、税務署が申請の受理・不受理を決めることになります。

つまりは、いったん評価方法を決めたら、3年間は変えられないと思っていただければと!

評価方法を選定しないとどうなるの?

仮想通貨の評価方法の届け出を出さなかった場合は、「総平均法を選定した」とみなされます。

昨年(平成30年)分まで移動平均法を採用していて、今後も継続していきたい方は、期限までに評価方法の届出手続きをすることを忘れないようにしてください!

忘れた場合は「総平均法を選定した」とみなされてしまいますよ!

しかも「総平均法を選定した」とみなされた場合、3年間は移動平均法に変更できませんから!

日頃、デカフォントを使わない私がデカフォント使ってしまいましたが、実際、最後のこれが、今回一番言いたかったことだったりします。はい。

まとめ

以上、仮想通貨の評価方法について、ご理解いただけましたでしょうか!

きむら

・総平均法のほうが、仮想通貨売買の所得を随時把握できることと、経済的実態に合致しているのでオススメ
・仮想通貨を取得したら、翌年の3月15日までに評価方法の届出をしよう
・届出をし忘れると「総平均法を選定した」とみなされてしまう
・「総平均法を選定した」とみなされた場合、3年間は移動平均法に変更できない

最後の2つを覚えていてくれて、忘れずに届出を出してもらえたら、きむらは嬉しいです!!