こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第18回目です。
今やボーダーレスな時代です。特に国際的な会社や大会社というわけではない一般の企業でも、国外の個人と取引をすることが、日常茶飯事になってきました。
税理士きむら
国際取引の課税関係を整理する「居住者」「非居住者」
みなさんの会社が、外国に住んでいる個人に何らかの支払をするとき、その人は、日本と住んでいる国のどちらに税金を払うことになるのでしょう?
こういった国際取引の課税関係を整理する上で定義されているのが「非居住者」です。
日本の税法では、国際課税を考える上で、個人の納税者を「居住者」と「非居住者」に区分しています。
居住者とは
居住者とは、日本国内に住所があるか、現在まで引き続いて日本に1年以上居住がある個人のことをいいます。
居住者はさらに「非永住者」と「非永住者以外の居住者」に分けられます。
非永住者とは、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内に日本国内に住所又は居所があった期間の合計が5年以下である個人のことをいいます。
非永住者以外の居住者とは、その言葉のとおり、非永住者以外の居住者のことをいいますので、皆さんがお仕事で接する個人のほとんどは、「非永住者以外の居住者」に該当することになります。
■ スポンサー広告 ■非居住者とは
非居住者とは、居住者以外の個人をいいます。つまり、日本に住所も居住実態もない個人のことです。
非居住者か否かの判定は、住民票の有無などの形式的なものではなく、日本に生活の本拠があるのか、現実に国内に居住している実態があるかないかという事実により判定します。
また、居住者と非居住者の区分をする際は、国籍は関係なく、日本に生活拠点があるかどうかで区分することも、おぼえておきたいことです。
課税される範囲の違い
この「非永住者以外の居住者」、「非永住者」、「非居住者」で、それぞれ日本の税法で課税される範囲が異なります(【図表】)。
実務ではこの区分を正しくできるかどうかが、とても重要です。
具体的には、この区分と支払いの内容等により、租税条約に関する届出や非居住者に対する源泉徴収が必要になってきます。
まずは居住者・非居住者の区分を理解し、支払いをする相手が居住者でない場合、手続きや源泉徴収が必要になる可能性がある。こう覚えておくようにしましょう。
【図表】居住者と非居住者の税金が課される範囲
区分 | 税金が課される範囲 | |
居住者 | 非永住者以外の 居住者 |
全世界所得に対して課税 |
非永住者 | ① 国内において生じた所得(国内源泉所得)に対して課税 ② ①以外(国外源泉所得)でも、日本国内で支払われたもの、日本国内に送金されたものについて課税 |
|
非居住者 | 国内において生じた所得(国内源泉所得)に対して課税(MEMO) |
①どのような国内源泉所得を有するか
②どのような支店や事業所などの「恒久的施設」を有するか否か
③国内源泉所得が「恒久的施設に帰せられる所得」か否か
により、課税方法が異なります。
まとめ
税理士きむら
実務ではこの区分を正しくできるかどうかが、とても重要です。
まずは、国外に住んでいる人(国籍関係なく)に、給与や外注費など何らかの支払いをするときは、要注意ってことだけでも覚えておいていただければと!
※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして記載しています。