こちらは、経営者や経理担当者向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
12月の税務カレンダーに、「住民税の特別徴収税額について納期の特例を受けている者の特別徴収住民税(6月~11月までの分)の納期限」という項目があります。
今日は、この「住民税の特別徴収税額の納期の特例」のおはなしです。
源泉所得税を半年分まとめて納付する制度(源泉所得税の納期の特例)
事業者は、従業員の給与から源泉徴収した源泉所得税を、翌月の10日に納付するのが原則です。
しかし、
「小規模な事業者は経理専属の担当がいないところも多いし、毎月納付するのは大変だろう」
ということで、事業者の事務負担に考慮し、特例として半年分まとめて納付することを認めています(源泉所得税の納期の特例)。
参考 [手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請国税庁この特例の適用を受けた場合、源泉所得税の納期は次のようになります。
- 1月~6月に徴収した源泉所得税は、7月10日までにまとめて納付
- 7月~12月に徴収した源泉所得税は、1月20日までにまとめて納付
住民税を半年分まとめて納付する制度(住民税の特別徴収税額の納期の特例)
この源泉所得税と同じような特例は、従業員の給与から天引きする住民税についてもあります(住民税の特別徴収税額の納期の特例)。
今では従業員の住民税は、給与から差し引く特別徴収が原則になっています。
この住民税の納期の特例、源泉所得税と内容はほぼ同じ。
- 半年分をまとめて年2回納付する
- 従業員が常時10人未満(9人以下)の事業者に認められる特例
ところが、大きく違うのはその納期です。住民税の場合は次のようになります。
- 6月~11月に徴収した住民税…12月10日までにまとめて納付
- 12月~翌年5月までに徴収した住民税…6月10日までにまとめて納付
源泉所得税と比べて1ヶ月早いのでご注意を。
なぜ源泉所得税と時期がずれるかというと、住民税は前年の所得に基づき、6月から新年度の徴収がスタートするからです。
■ スポンサー広告 ■従業員の住民税を半年まとめて納付するには?
住民税の納期の特例は、源泉所得税と同じように、申請書を出すことで適用を受けることができます。
申請書のフォーム等は、各市町村のホームページ等で入手できます。
たとえば、東京都のフォームはこちら(世田谷区のホームページより)。
・特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書 (エクセル形式 23KB)
・(記入例)特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書 (PDF形式 47KB)
申請書の提出期限ですが、「特例の適用を受けようとする月の20日頃まで」ということで、なんともアバウトです(^_^;)
半年分まとめて納付する場合、資金繰りに注意!
半年まとめての納付にすると、納付額が大きくなってしまうので、納付時期に資金繰りが厳しく感じることとなります。源泉所得税もあわせて半年分の納付にしていると、なおさらです。
そこで、半年分まとめての納付にした場合、納税準備預金口座を開設し、日々の運転資金にまわらないよう、毎月預かり住民税の分を資金移動しプールすることをおすすめします。
ちなみに住民税の特別徴収税額は、源泉所得税や消費税同様、「他人から預かった税金」なので、滞納した場合、その取り立てはひじょーーーーーに厳しいです!
今では「毎月インターネット納付する」という選択肢もあり
こういった資金移動が逆に面倒という事業者は、原則どおり毎月納付するという選択肢もありです。
なぜなら今は、「紙の納付書を金融機関に持ち込んで納付する」という方法だけでなく、eLTAXとインターネットバンキングを利用するという選択肢もあるので、ネットでの手続きに慣れている事業者であれば、毎月納付することもそんなに手間ではないからです。
「毎月納付するほうが管理しやすい」という事業者は、インターネットバンキングでの納付を検討しましょう。
ちなみに住民税も源泉所得税も、納期の特例の申請を取り下げることなく、事業者側が任意で毎月納付することが可能です。