こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第9回目です。
たびたびあることではないのですが、申告書を提出した後に、申告内容に間違いがあったことに気づいた場合、その訂正の手続きをすることになります。
また、税務調査が入った後で、その申告内容の訂正を求められることがあります。
きむら
訂正手続きの意味を理解し、正しい用語で言い分けができれば、なんだか通(ツウ)な感じ!
今回は、申告を間違えたときの手続きについて、確認してみましょう。
納税者が行う訂正の手続き
事後的に申告内容を是正する手続きは、大きく分けて「納税者が行う手続き」と「税務署等の課税庁が行う手続き(処分)」とに分かれます。
納税者が行う手続きは「修正申告」と「更正の請求」です。
修正申告
「修正申告」は税額を過小申告(当初税額 < 是正後税額)していた場合に行う手続きです。
「修正申告」の注意点は、あとでその修正申告の内容が間違っていたことが分かった場合でも、異議申し立てや審査請求ができないことです。
したがって、税務調査で修正申告を求められた場合は「修正したらこれっきり」ということを理解した上で行うべきです。
更正の請求
「更正の請求」は税額を過大に申告(当初税額 > 是正後税額)していた場合に行う手続きです。
「更正の請求」は、平成23年12月2日以降法定申告期限が到来する国税については、申告期限から5年以内まで行うことが可能になりました。
「更正の請求」は、本来納めるべきでなかった税金を取り戻す手続きですし、請求できる期間が長くなったこともあり、積極的に活用したい制度ですが、「更正の請求」をすると、税務調査の確率が高まることだけは、ちょっと覚悟しておきましょう。
税務署等が行う訂正の手続き(処分)
税務署等の課税庁側が行う手続き(処分)には、「決定」と「更正」があります。
決定
「決定」は申告義務があるにもかかわらず申告書の提出が無い場合に、課税庁側が調査をした上で税額を決定させることです。
これは普通の企業では、そうそうありえないことだと思います。
更正
一方「更正」は、課税庁側が申告済みの税額を正すことで、税額が増加する場合もあれば、減額となることもあり、後者は「減更正」などと呼ばれます。
なお、「決定」も「更正」も処分に不服がある場合、納税者は異議申し立てをすることができます。
■ スポンサー広告 ■税務調査時の決め台詞?「更正してください!」
ところで、税務署等は申告の誤りがあった場合、なるべく納税者に自主的に手続きを行って欲しいと考えています。
というのも、税務署側が「決定」「更正」した場合、納税者は異議申し立てができるからです。
申し立てをされると「税務調査がうまく終了しなかった」ということで、税務署側の汚点となる可能性があります。
そこで、税務調査で税務署側と見解の相違があり、なかなか決着がつかない場合には
強気な納税者
と言うと、効果的などと言われています。
でもこのセリフ、あきらかにこちら側に誤りがある場合に使ってはいけませんよ。そんな時に使ったり、乱用しすぎると、逆効果です(笑)。
まとめ
きむら
税額を過小申告(当初税額 < 是正後税額)していた場合に行う手続きを「修正申告」、税額を過大に申告(当初税額 > 是正後税額)していた場合に行う手続を「更正の請求」といいます。
※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。