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税法用語の意味がわかるブログ(33)「通勤手当」とその実務

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第33回目をお送りします。

税理士きむら

ほとんどの企業が従業員を雇っていれば給与とともに「通勤手当」を支払っていますが、この通勤手当、身近ですが案外実務で間違いやすい論点が多いんです。

そこで、通勤手当について気を付けるべきポイントについてお話しします!

通勤手当と所得税

所得税法上は、通勤手当は非課税となり税金が課されません。

ただし、限度額はあるので、その限度額以内であれば「非課税通勤費」となり、限度額を超える部分については、「課税通勤費」として処理をすることになります。

限度額は、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合には、1カ月あたり15万円です。なかなかこの限度額を超えることはレアケースだと思いますが、近年、新幹線通勤をする人も増えてきたことから、改正で限度額が高額になりました。

一方、自転車や自動車で通勤している場合の限度額は、片道2km未満であれば0円となります。それ以降は、2km~10km未満では4,200円、10km~15km未満 では7,100円という具合に、距離に応じて限度額が上がっていきます。上限は31,600円(片道55㎞以上)です。

参考 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当国税庁タックスアンサー 参考 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当国税庁タックスアンサー

通勤手当と消費税

事業主が払った通勤手当の消費税の取り扱いはどうなるのでしょうか。

給与手当は不課税仕入として扱いますが、通勤手当は課税仕入として取り合つかわれます。これは、定期代を通勤手当として支給する場合のみならず、定期券を現物支給する場合も同様です。

また、自転車や自動車で通勤している場合に支給される通勤手当についても、同様の処理となります。

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通勤手当と社会保険

最後に「税務」ではないのですが、社会保険についても触れておきます。

社会保険料の算定の際には、被保険者(従業員や役員)が受け取る給与の額を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて標準報酬月額を算定し、それに基づいて、保険料や年金額の計算をします。

その標準報酬月額を算定する際の給与額には、基本給や残業手当のほか、通勤手当も含まれます。社会保険料の計算上は、通勤手当は「現物給与」として扱われるというわけです。

まとめ

以上、通勤手当の実務についての解説でした!

通勤手当は、限度額までは所得税非課税、消費税は課税、社会保険料計算の際には現物給与として計算の対象になるという、以外に実務の取り扱いが難しい費目です。