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税法用語の意味がわかるブログ(32)「資料せん(一般取引資料せん)」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第32回目をお送りします。

経理に携わっている方であれば、税務署からの要望で「一般取引資料せん」(以下、資料せん)を作成したことがあるかもしれませんね。今回はこの「資料せん」についてのおはなしです。

きむら

資料せんって、何のために作成を要求されるのでしょうか?
また、作成することで取引先に迷惑がかかるかも…と、不安に感じる方も多いかと。

色々と疑問は尽きないですよね。では、早速資料せんについて見ていきましょう!

資料せんとは

資料せんとは税務署から送られてくるおたずね文書です。

税務署が指定した期間に行われた取引について、一定の金額以上の取引があった場合には、その相手先について、住所や振込口座・取引金額等を記載して提出するものです。

資料せんは、下記に掲げる取引についての「おたずね」であることが多いです。

  • 売上や仕入
  • 外注費
  • 支払リベート
  • 建築工事費
  • 接待交際費
  • 広告宣伝費など

税理士きむら

ぶっちゃけ、架空を疑われやすい取引ばかりです。

例えば、接待交際費についてあなたの会社が資料せんを作成して税務署に提出したとします。

税務署はその資料せんをもとに、接待交際の相手がたの申告内容と一致しているかどうかを調べるのです。

資料せんの提出のしかた

資料せんの提出方法ですが、2とおりの方法が認められています。

書面での提出

税務署から送られてきた封書に、1取引先について1枚ずつ書く用紙が同封されており、書面提出の場合、その用紙に必要事項を記載し提出します。

光ディスク等による提出

国税庁ホームページに、エクセルで入力できるフォームがあるので、書面による提出に代え、そのフォームをダウンロードして入力をし、光ディスク等(CD・DVD・FD・MO)により提出も可能なようになっています。

取引先の多い会社などは、光ディスク等で提出する方法のほうが、資料せんの作成を省力化できるので、便利です。

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資料せんは、提出すべきか否か?

資料せんは、自分の会社のことをたずねているというよりも、みなさんの会社の取引先の情報収集を目的とする意味合いが強いです。

税務署が回収した資料せんは、税務調査対象者の選定や、税務調査時の調査項目の選定の参考資料として利用されます。

ただし、資料せんの提出は、「ご協力をお願いします」と書かれていることからわかるとおり、強制力のあるものではなく、あくまで任意です。

また、行政手続法の規定により、行政指導に従わなくても納税者に不利益がないことが「法的」に定められています。

そこで

提出することで取引先に迷惑をかけるんじゃないか。任意であれば提出しなくて良いのではないか。

などと、悩まれるかもしれませんね。

しかし、取引先が何ら後ろめたいことをしていなければ、出しても相手に迷惑をかけるものではありませんし、資料せんを提出することにより、課税の公平性や適性を保つ側面があるので、その点からは協力すべきものといえるでしょう。

ただし、資料せんに回答した内容が、ケアレスミスや期ずれなどで相手の申告内容と異なる場合は、相手に迷惑がかかる可能性が無きにしもあらず。その点だけは注意し、取引によっては、取引先に確認をするなどして、資料せんの作成・提出をするようにしましょう。

まとめ

以上、資料せんについての解説でした!

きむら

・資料せんは、自分の会社のことをたずねているというよりは、みなさんの会社の取引先の情報収集を目的とするもの。
・資料せんは、強制力のあるものではなく、提出はあくまで任意。
・行政指導に従わなくても納税者には法的には不利益はない。
・提出する場合は、記載ミス等にご注意を!(相手に迷惑がかかる可能性が…)

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして記載しています。

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