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税法用語の意味がわかるブログ(3)「法人(会社)の税額控除」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第3回目です。

税理士きむら

私が税務会計業界に入った当初の記憶を思い起こしながら、「え!こんな意味なんだ」と違和感を感じた税法用語の中から、これを覚えておくと税法の知識が深まるというものをピックアップして、解説しています。

インセンティブとしての「税額控除」(前回の復習)

前回のテーマ「所得控除・税額控除」から、「税額控除」の復習です。

前回、自宅を購入した時など、インセンティブとして税金を少なくする「税額控除」は、「もともとの税額以上には控除できない」とお話ししました。

たとえばもともとの税額が15万円で、ローン残高から計算した住宅ローン減税の税額控除可能額が20万円の場合、15万円-20万円=▲5万円で5万円還付になるかというと、そういうわけではありません。

税額控除額はその年の税額を限度とするので15万円となり、税額は15万円-15万円=0円になります。

税金の前払いを差し引く税額控除「所得税額控除」

ところが税額控除の中には、引ききれなかった分が還付になるものがいくつかあります。

実務でよく見る代表的なものが、法人税の「所得税額控除」です。

でも、法人税なのに所得税額控除」だなんて。個人の税金の名前がついていて、不思議に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。まずはその解説から。

会社が銀行にお金を預けると利息がつきますが、この利息から、実はしっかりこの表のように税金が引かれています。

①−②
受取利息額 所得税・復興税
15.315%
手取り額
250円 38円 212円

法人(会社)の場合、この利息から差し引かれた所得税・復興税分は、国税の前払いとして、確定申告のときに法人税・復興税(会社のもうけに対して課される国税)から差し引くことができます。これが「所得税額控除」です。

法人なのに、なぜ「所得税」なのかというと、これは法人の分も個人の分も銀行が源泉徴収し、まとめて「源泉所得税」として国に治めているからです。

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「所得税額控除」は引ききれない分は還付される

この「所得税額控除」、「法人税の前払い」という性質があることから、その年の法人税より多く徴収されていた場合は、返してもらえます。

つまり、引きれなかった分は、還付になります。

たとえば、手取り212円の利息を受け取った会社がその年赤字で、法人税がゼロだったとします。

利息から前払い分として徴収されていた税金38円は
「利息から予め税金を頂いておりましたが、利益が出なかったのでお返しします」
と、申告後、国(税務署)から返してもらえるのです。

法人にもあるインセンティブとしての「税額控除」

会社にも、一定の固定資産を取得したり、試験研究費を支出したり、一定の雇用をした場合、インセンティブとしての税額控除があります。

こちらは前回お話しした「税額控除」同様、税額以上には引ききれません。といいますか、控除額はその年の法人税額の10~25%(制度ごとに異なる)を限度とするようになっています。

まとめ

税理士きむら

個人と同じように、会社(法人)にも税額控除の制度があります。
税額控除のうち、所得税額控除など「法人税の前払い」という性質があるものは、税額から引きれなかった分は、還付されます。
一方で、インセンティブとしての税額控除は、法人税額の10~25%(制度ごとに異なる)が控除限度額になります。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。