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税法用語の意味がわかるブログ(10)「実効税率」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第10回目です。

きむら

経理実務の現場にいると、
「会社の税引前利益に実効税率を掛ければ、今期のだいたいの納税額がわかる」
などという会話に遭遇するかもしれません。
今回はこの「実効税率」についてお話しします。

実効税率とは

皆さんも、実務をとおしてお気づきのとおり、会社の所得(もうけ)に対して課される税金は、法人税、地方法人税、法人住民税、事業税、地方法人特別税…と多岐にわたっており、それぞれの税率が異なっています【図表】

それなのに、社長から

会社の税金がどれくらいか教えて。ざっくりでいいから。

などと簡単に言われても、ひとつひとつの税金を計算しその合計を求めていくのは、けっこう手間ですよね。

こういう時に「実効税率」の出番です。

「実効税率」とは、各税率を勘案し、会社の所得(もうけ)に対する総合的な税負担率を計算したものです。実際の税申告には使えませんが、これを知っておくと、だいたいの税額を把握する際に便利です。

実効税率の計算式

実効税率は次の式で求められます。

(1+法人住民税率×地方法人税率)なのは、法人住民税と地方法人税が、法人税の額に率を掛けて求められるからです。

分母が(1+事業税率+地方特別法人税率)になっているのは、事業税が税額の計算上、損金(費用)となるからです。

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実効税率を算出するのはけっこう厄介

こう式で書くとなんとなく簡単に求められそうですが、とはいえ、実際の算出は厄介です。

というのも、法人税等については一定の中小企業に軽減税率がもうけられていたり、事業税率や住民税率が、地方自治体や会社の規模により異なっているから。

したがって、実際の実効税率は、会社の規模や、所在する場所により異なることになります。

え?中小企業の実効税率は20%代?!

とはいえ、実際の税額計算は緻密にするとして、まず、だいたいの税額を出す際は、「ざっくり」でよいのですから、地方税率の地域差も誤差の範囲内と考えましょう。

中小企業の経営者や経理担当者の方は、会社の所得に応じ、【図表】の実効税率を税額の概算の際にお使い頂ければ良いかと。

【図表】中小企業のもうけに対する税率と実効税率(東京都の場合)

大切なのは、中小企業でもうけが800万円以内であれば、実効税率が20数%になるという感覚を、知っておくこと。ここ最近は、会社(法人)に対する課税は、減税傾向なんです。意外に低いですよね。

まとめ

きむら

実効税率を知っておくと、ざっくりと会社の納税額を知ることができるので便利です。
中小企業の実効税率は、年間のもうけが800万円以内であれば20数%と、かなり低めです。
ちなみに大企業の実効税率は、約30%になります。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。

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