こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第6回目です。
税理士きむら
ざっくり税額をつかむのに「益金」「損金」の算入・不算入の知識は必須
このブログをご覧になっている経理担当者の方の中には、決算の試算表を作成したあと、社長に
社長
と聞かれ、戸惑った経験をされた方もいらっしゃるかと思います。
「ざっくり」とは言っても、
報告した額があまりにも結果と違いすぎるとあとで何を言われるか…
そんなことは会計事務所に尋ねてほしい…
なんともプレッシャーのかかる質問ですよね。
でも、前回お話しした「益金」「損金」の算入・不算入がわかると、こういった質問に、ある程度自信を持って答えられるようになります。
よくある損金不算入項目
役員賞与
従業員の給与・賞与は全額が損金になりますが、役員賞与は原則として損金となりません。
法人税住民税等
税金には、損金として認められるものと認められないものがあります。法人税・復興特別法人税・住民税は損金にはなりませんが、事業税・地方法人特別税は損金になります。
税金の損金算入・損金不算入
損金になるもの(損金算入) | 事業税・地方法人特別税・固定資産税・自動車税・印紙税・利子税(納期延長に伴う利子)など |
損金にならないもの(損金不算入) | 法人税・住民税・延滞税(納税遅延による罰則)など |
交際費
会社の規模により損金に算入できる額が決まっています。
資本金1億円超の法人は、交際費に含まれる飲食費のうち、50%の額は損金になります。
資本金1億円以下の法人は、年800万円までの交際費は、全額損金になります。年800万円を超えると一部損金不算入になります。
寄付金
国・地方公共団体・財務大臣指定の公益法人に対する寄付金は全額が損金になります。
その他の寄付金は、下記に示す限度額まで損金算入可能です。
{(資本金等の額の0.25%)+(寄付金支出前の所得金額の2.5%)}/4
よくある損金算入項目
繰越欠損金
青色申告法人に認められている控除です。欠損金が出た年の翌年以後9年間(平成30年4月1日以後開始の事業年度からは10年間)に渡り、所得金額から差し引くことが出来ます。
ただし、欠損金の額はB/Sの繰越欠損金の額とは一致しないので、前年度の申告書で確認する必要があります。
未払法人税等から支払った事業税等
事業税・地方法人特別税は損金になる税金なので、これを未払法人税等を取り崩して支払った場合には、損金に算入します。
よくある益金不算入項目
受取配当金
配当金は、会社が税金を支払った後の利益の分配なので、これを受け取った側でも課税すると、二重に税金がかかることになります。
そこで法人税法では、二重課税の問題を回避する趣旨で、受取配当金を益金不算入としています。
税金の還付金
法人税・住民税など損金不算入の税金の還付金は、益金になりません。 事業税など損金算入の還付金は益金になります。
まとめ
損益計算書の税引後当期純利益に、これらの項目を足し引きして所得金額をもとめ、あとは実効税率を掛ければ、だいたいの税額をつかむことができますよ!
税法用語の意味がわかるブログ(10)「実効税率」税理士きむら
※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。