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税法用語の意味がわかるブログ(5)「益金・損金」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第5回目です。

税理士きむら

私が税務会計業界に入った当初の記憶を思い起こしながら、「え!こんな意味なんだ」と違和感を感じた税法用語の中から、これを覚えておくと税法の知識が深まるというものをピックアップして、解説しています。

会社の「もうけ」に対して課される税金の代表格・法人税

この連載の第1回目に、税金には「儲け」に対して課されるものがあるとお話ししました。

そして、会社(法人)の「儲け」に対して課される税金の代表格が、国に対して納める法人税です

この他に、

法人税と同じく国に対して納める復興特別法人税
都道府県に対して納める法人事業税(地方法人特別税を含む)・法人県民税
市町村に対して納める法人市民税

があります。その中で、法人税を「代表格」と言うのにはわけがあります。

それは、利益が出ている会社の場合その納税額の大半を占めるということと、もう一つ、他の税金は法人税の計算をベースにして算出されるからです。

従って、「会社の税務を学ぶ」というと、メインは法人税の知識をマスターするということだと言っても過言ではないほどです。

税金を計算する際の「儲け」は当期利益とイコールではない

さて、法人税は「儲け」に対して課されると言いました。

が、税額の計算をする際に「損益計算書の当期利益に税率を掛ければいいのか」というと、そうではありません。

ここで登場するのが今日のテーマ「益金・損金」です。

損益計算書の「当期利益」は「収益-費用」という式により計算されます。収益・費用・当期利益は会計的な考え方に基づいており、会社の経営成績や財務状態を表示するという目的があります。

一方、法人税の課税標準である「所得金額」(儲け)は「益金-損金」という式により計算されます。益金・損金・所得金額は税務的な考え方に基づいており、課税の公平や、国の税務政策などに配慮するという目的があります。

このように目的が違うため、「収益と益金」「費用と損金」「当期利益と所得金額」は、似てはいますが、完全には一致しません。

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法人税の所得は「収益と益金」「費用と損金」の差分を足し引きして計算する

では、日々の会計処理(収益と費用の記録)とは別に、「法人税用に益金と損金も記録しろ」と言われたら…。会社の経理担当としてはたまったものではないですよね。

完全には一致しないとはいっても、「収益≒益金」「費用≒損金」と、その内容の大部分は重なるので、法人税では、会社の会計上の「当期利益」に、次の差分を足したり引いたりすることで、課税標準である「所得金額(儲け)」を計算します。

差分の内容 項目 当期利益への調整
収益となるが、益金とはならないもの 益金不算入 減算(▲)
収益とはならないが、益金となるもの 益金算入 加算(+)
費用となるが、損金とならないもの 損金不算入 加算(+)
費用とならないが、損金となるもの 損金算入 減算(▲)

法人税法の規定の大部分は、収益と益金の違いや、費用と損金の違いについて規定していると言っても良いでしょう。

次回は今回のお話を、もう少し掘り下げて説明します。

(次回の記事はコチラ)

まとめ

税理士きむら

法人税の額は、「所得金額(儲け)×税率」で計算します。「所得金額」は「益金-損金」という式により計算されます。
この益金と損金は、会計の収入と費用とは、似てはいますが異なるものです。
そこで、法人税では、会社の会計上の「当期利益」に、「収入と益金」「費用と損金」との差分を足したり引いたりすることで、課税標準である「所得金額(儲け)」を計算します。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。