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税法用語の意味がわかるブログ(20)「税制改正」

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第20回目です。

税理士きむら

年末の税制改正大綱の話題が出てくる季節になりました。そこで今回は、税制改正の基本について、解説をしたいと思います。

税制改正とは?

単語の内容で察しがつくかと思いますが、税制改正とは、税金の制度を改正することです。

基本的には年度(4月1日~3月31日)前に、国会で改正されます。

なぜ国会で改正されるのかと言うと、国の予算(お金の使い道)を決める時、国の売上である税収もセットにして考えるべきだからです。

税制をどのようにするかによって、税収をいくら位当てにすれば良いかが変わってきます。

このことから税制改正は、国会の重大な議論のひとつといえます。

なぜ税制は変えなくてはいけないの?

ところで

じゃあ、税収がいくらくらいになるか見積もるためにも、税制はころころ変えない方がいいんじゃないの?

納税者

と、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。

なぜ毎年のように改正があるのでしょうか?

その理由ですが、まずは「社会情勢の変化に対応するため」です。世の中や人の生活のしくみは刻々と変わっています。また、そのスピードもどんどん速まっています。昔に決めた税制を「それでよし」としていたら、社会情勢にそぐわないものになってしまいます。そこで、時代にフィットした税制にするという機能が、税制改正にはあります。

2つ目の理由が、「政策のため」です。身近なところで言うと、景気が悪いので「民間にお金が流れるように」と会社の交際費の損金不算入の限度が、昔に比べて緩くなっていますが、これが政策のために行われる税制改正の一例です。

税制改正の内容を見ると「国が何を優遇しようとしているか」「国がどこに向かおうとしているのか」がわかると言われるのは、税制が政策実現のために改正される要素が多々あるからです。

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税制改正のスケジュール

税実務に携わる者としておさえておきたいのが、税制改正のスケジュールです。

平成31年度税制改正タイムスケジュール

2018年秋 税制改正要望事項公表 各省庁からの税制改正に関する要望が出揃う
2018年12月初旬~中旬 税制改正大綱発表 与党と財務省より、税制改正の大枠である大綱が発表される(これが国会の審議のたたき台となる)
2019年1月頃 閣議決定 改正の内容が閣議決定され国会へ
2019年2月頃 国会へ上程 改正法案の国会での審議がスタート
2019年3月 改正法案可決 衆議院、参議院を通過し可決される
2019年4月1日 改正スタート 改正法が施行される

夏が過ぎ秋が始まる頃、各省庁から税制改正の要望が出されますが、あくまでこれは各省庁の希望に過ぎません。この時点のニュースで「税制はこうなるのか!?」と浮き足立ってはいけません。

来年度以降の税制は、12月半ばに公表される税制改正大綱で固まります。現在の政治のパワーバランスですと、大綱の内容で99%決まりと言ってよいでしょう。

経理担当者や経営者の方は、税制改正大綱が出た時点で、初めてしっかり目をとおすのでいいと思います。

そして発表されたら、自社に影響がありそうな項目をピックアップするとことをオススメします。

その時の一番のポイントは「いつから改正されるのか」。例えば、こんどの平成30年12月の大綱ですと、最短で平成31年4月1日から影響のある改正項目が入っているかもしれません。

まとめ

税理士きむら

来年度の税制改正の概要がはっきり見えるのは、毎年12月の税制改正大綱発表の時期です。公表されたら自社に影響がある改正項目をピックアップし、その改正が「いつから」なのか、把握するようにしましょう。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。