こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第7回目です。
きむら
この業界に入る前、「確定申告」と言えば、個人の所得税の確定申告だけを思い浮かべていました。しかし「確定申告」とは、なにも個人限定の言葉ではありません。
というわけで、今回は「確定申告」「中間申告」などの「○○申告」という言葉についてのまとめです。
確定申告
確定申告とは、税金に関する申告手続きのことを言います。
次のような税金は、納税者自らが税務署へ所得などの申告を行うことで納税額が「確定」し、この確定した税額を自分で納税する申告納税制度を採っています。
税金 | 内容 |
① 法人税(法人住民税、法人事業税、地方法人特別税) | 法人が、原則として自己の定款に定められた営業年度を課税期間として、その期間内の所得を計算した申告書を税務署等へ提出し、納付すべき法人税額等を確定すること。 |
② 消費税地方消費税 | 消費税の課税事業者である個人又は法人が、課税期間内における消費税額を計算した申告書を税務署へ提出し、その納税額を確定すること。 |
③ 所得税 | 個人が、その年の1月1日から12月31日までを課税期間として、その期間内の収入・支出、医療費や家屋の新築・増改築・売買、盗難や火災、寄付、扶養家族状況などから所得を計算した申告書を税務署へ提出し、納付すべき所得税額を確定すること。 |
このように、個人や法人が納税すべき税額を確定するために行う次の申告手続のことを「確定申告」といいます。
同じように相続税や贈与税の申告も、納税者自ら税額を確定させ申告手続きを行うことから「確定申告」と言っていいのかもしれませんが、相続贈与については確定申告とは言いません。
中間申告・予定申告、そして予定納税
前期(前年)に一定額の納税をした場合には、翌期(翌年)に税金を前払いすることになります。
図表① の法人税等
法人税の年間の税額が20万円を超えると、翌期に法人税は「中間申告」、地方税は「予定申告」を行い、前年度の年税額の半分を前払いをすることになります。
ただし前年度の実績に変えて半期の仮決算を行い、それに基づいて納付すべき法人税・地方税の額を計算することもできます。
これを法人税・地方税ともに「仮決算による中間申告」と言います。
図表② の消費税地方消費税
前年度の納税額が48万円(消費税の国税部分)を超えると、翌期に1~11回の「中間申告」と、前年度の年税額の1/2~1/12を前払いをすることになります。
ただし前年度の実績に変えて仮決算を行い、それに基づいて納付すべ消費税等の額を計算することもできます。
これを「仮決算による中間申告」と言います。
また、中間申告の義務が無くても、自主的に中間申告書(年1回)を提出することができる「任意の中間申告制度」もあります。
図表③ の所得税
前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合、その年の所得税の一部を「予定納税」として予め納税します。
①・②と大きく違うのは、申告はしないことです。
ただし、仮決算のような制度として「予定納税の減額申請」があり、申請が承認されれば、予定納税額は減額されます。
■ スポンサー広告 ■中間・予定の使い分け
以上が、ガチの確定申告・中間申告・予定申告の解説でした。
ところで、私の経験からですが、実務の現場では、「中間(予定)申告」「中間(予定)納税」という言葉は、この税法用語の厳密な定義で使われるとは限らず、一般には、前年度の実績に基づいて申告・納税する場合に「予定」を使い、仮決算を組んで申告・納税する場合を「中間」と言うことが、どうも多いようです。
まとめ
きむら
※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして掲載しています。