こちらの記事は、フリーランスの方や個人事業の経理担当者向けです。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
経営者や経理税務担当者が、最低限知っておくべき税務や労務手続きの年間スケジュールについて、全4回に分けてお送りしています。
第1回 税務の年間スケジュール
第2回 労務の年間スケジュール
第3回 決算月別、我が社の税務・労務の年間スケジュール
フリーランス
そういった声が、あがると思ってました!
税理士きむら
個人の税務手続きの年間スケジュール
まずは、フリーランス・個人事業主(以下「個人」)の税務の年間スケジュールについて、簡単におさえておきましょう。
個人の場合は、会社のように自由に決算月を決められず、事業の計算期間は暦年(1月1日から12月31日)になります。
まず、年が明けてから1年間の事業の収支をまとめ、3月15日までに所得税・復興特別所得税(以下「所得税」)の確定申告をします。個人の場合は会社と違い、申告書の提出先は税務署1ヶ所で、都道府県や市町村に申告する必要は、原則としてありません。
消費税・地方消費税(以下「消費税」)については、課税期間は原則として同じく暦年(1月1日から12月31日)で、申告は3月31日までに行います。ただ、提出先は税務署なので、3月15日に所得税と一緒に申告してしまう人が多いです。
確定申告を終えると、データが税務署から都道府県や市町村に送付され、そのデータに基づいて、個人住民税や個人事業税の額が通知されるという流れになります。これが、個人が都道府県や市町村に申告をしなくて住む理由です。
個人の納税の年間スケジュール
このように、個人は申告の手間は会社に比べると楽なのですが、税金の納付時期がいささか複雑です。
会社は申告と一緒にまとめて申告年度の納税をしますが、個人はまとめて納税するわけではありません。税金によって、納付する時期が異なります。
税金の種類 | 納税時期 | 備考 |
所得税 | 3月15日 | 振替納税の場合4月20日前後 |
消費税 | 3月31日 | 振替納税の場合4月25日前後 |
予定納税 | 7月31日、11月30日 | 前年分の申告納税額が15万円未満の場合は納税の必要なし |
個人住民税 | 6月、8月、10月、翌年1月 | 市町村によって納税時期が変わる場合あり |
個人事業税 | 8月、11月 | 事業所得290万円以下の場合は納税なし |
流れを説明すると、3月に確定申告をして、同時に所得税と消費税を納税します(振替納税の場合は4月に納税)。
その後、市町村から6月頃に個人住民税の通知が届きます。その後、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納税しますが、一括で納付することもできます。
次に夏頃、都道府県から個人事業税の通知書が届きます。その後、8月と11月に納付をします。
税理士きむら
個人の労務の年間スケジュール
個人の労務の年間スケジュールは、基本的に法人(会社)と一緒です。
税務・労務の年間スケジュール2〜労務の年間スケジュールただし、次のような個人事業については、社会保険は強制加入ではないので、未加入の場合、社会保険の手続き・社会保険料の納付は発生しないことになります。
- 従業員が5人未満の個人事業所(判定は事業所単位で行います)
- 人数に関係なく、農牧水産業、一部のサービス業(旅館、飲食、理美容、法務関連士業、娯楽、スポーツ、保養施設等)
個人の年間スケジュールのまとめ
以上を踏まえて、フリーランス・個人事業主が役所に対して行う税務・労務の年間スケジュールをまとめてみました。
年間スケジュールは、次の前提条件で作成しています。
- 所得税の予定納税あり
- 消費税の中間申告は1回
- 従業員の源泉所得税、特別徴収住民税は納期の特例を利用
- 労働保険の納付は年3回
- 36協定の有効期限は毎年年末
- 賞与は毎年6月と12月に支払
赤字は納税・納付を伴うものです。
この他、毎月もしくはその都度行うことは、こちらにまとめています(別ページへ飛びます)。
まとめ
個人の場合、申告手続きは楽ですが、納税スケジュールが分散しています。
前年の事業に対する税金を、翌々年の1月までだらだらと納付するわけで、なんだか年中税金を払っているような感覚です。
会社にすると、納税スケジュールが比較的簡素になり、個人的にはその点も法人成りのメリットのような気がしています。
個人事業を18年やってきた私が感じている法人化のメリット2つ