小さな相続専門税理士のきむら あきらこ( YouTube)です。
「価格」と「価額」。一件似ている言葉ですが、税務・会計の世界では、意味や使われ方には違いがあります。
ざっくり言えば、「価格」は売買するときの値段、「価額」はモノや財産を金銭で評価した額と考えるとわかりやすいでしょう。
特に税金や会計の世界では、「取得価額」「帳簿価額」「財産の価額」「課税価格」など、似た言葉がたくさん出てきます。
この記事では、価格と価額の違いを一覧で整理したうえで、税法・会計、そして相続税ではどのように使われているのかを、税理士が具体例を使って解説します。
「価格」と「価額」の違いを一覧で比較
| 価格(かかく) | 価額(かがく) | |
| 基本的なイメージ | 売買・取引の値段 | 財産などを金銭で評価した額 |
| 英語 | Price | Value |
| 例 | 販売価格、市場価格 | 取得価額、帳簿価額 |
| 税法での例 | 課税価格 | 財産の価額 |
| 覚え方 | 「いくらで売る?買う?」 なら価格 |
「いくらの価値?」 なら価額 |
「価格」とは?わかりやすく説明
一般的には「価格」は実際の売買や取引で付けられる値段、「価額」は特定の財産などを金銭で評価した額、というニュアンスで使い分けられます。
青果店Aでリンゴが1個100円で売られていたら、その100円が「価格」です。青果店Bでリンゴが150円で売られていれば、150円が「価格」です。

その金額が安くても高くても、売主のつけた希望価格、又は、買主との間で合意された値段が「価格」です。英語で言えば「価格」はPriceと訳されます。
■ スポンサー広告 ■「価額」とは?わかりやすく説明
次に、「価額」は一般的には、そのものの価値に相当する金額をいいます。英語で言えば「価額」はValueと訳されます。
例えば、あなたが絵を100万円で画廊から買ったとしましょう。
100万円は絵の「価格」です。
ところが後年、その絵の画家が非常に有名になり、あなたの絵は300万円の価値があると鑑定されました。この場合の300万円は「価額」になります。
税法や会計では「価格」と「価額」をどう使い分ける?
このように「価額」は客観的な意味合いがある金額のことなので、税務や会計の世界で「価額」と言うと、特定された物の具体的な金銭的価値のことを指します。
例えば、取得などして帳簿に記載された金額は、特定された物の具体的な価値なので、「取得価額」とか「帳簿価額」といった用語で表現されます。
対して、販売店や売り手が付けた取引金額のことを、税務や会計の世界では「価格」と表現することが多いです。
ちょっと例を出してみましょうか。

例えば、あなたの会社が機械を300万円で購入し、据付費等の付随費用10万円を合わせて支払った場合には
「価格300万円の機械装置を購入し、付随費用等を合わせて取得価額は310万円になった。減価償却を行い、期末の機械装置の帳簿価額は250万円。」
などと表現することになります。
相続では「売れる価格」と「相続税評価額」が同じとは限らない
相続の場面では、この「価格」と「価額」の違いを知っておくことが意外と大切です。
たとえば自宅の土地について、
「5,000万円で売れそうだから、相続税でも5,000万円の財産として計算する」
とは限りません。
相続税では、財産ごとに定められた評価方法によって財産の価額を計算します。だから「財産の評価額」と言うのです。
※【マニアック論点】相続税法には
「相続又は遺贈により取得した財産の価額の合計額をもって相続税の課税価格とする。」
という条文があります。
1つの条文の中に「価額」と「価格」が出て来る面白い例ですが、あいまいな表現を許さないのが税法ですから、当然この条文も、「価格」と「価額」を使い分けしています。
各々の財産は定められた評価方法によって計算された個別のものですから、その金額については「価額」と表現し、相続税の計算をする上でベースとなる金額は、制度上の枠組みで捉えた一つのまとまった金額であるため、こちらは「価格(課税価格)」と表現されています。
つまり、「個別の財産の評価額(価額)」をすべて足し合わせることで、最終的な「税金計算の土台となる金額(課税価格)」が完成するという、計算のプロセスを正確に区別して書き分けているのです。
まとめ
「価格」は主観的な要素が強いのに対し、「価額」はより客観的な金額のことを言います。会計や税法でも、その視点で使い分けをしています。
「うちの財産はいくらで評価される?」と思った方へ
相続税では、預貯金は残高そのものでも、不動産や株式などは「売れそうな価格」をそのまま使うとは限りません。
特にご自宅の土地は、評価方法によって相続税額が変わることがあります。
「あれ、うちの場合は相続税がかかるのかな?」
「自宅はいくらで評価されるのだろう?」
そんな疑問がありましたら、相続専門税理士の個別相談をご利用ください。
※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして記載しています。


