こちらは、小さな企業の経営者の方や個人事業主(フリーランス)向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
「財務分析するのに、どの指標を見たらいいのかわからない」という経営者の方も、多いのではないでしょうか。
数字に強い経営者になれたらいいけれど、最初から数字のセンスがある人は、そうなかなかいません。
税理士きむら
では、早速みていきましょう!よろしければ最後までお付き合いください。
(1)まず、売上高を追ってみる
財務分析の指標をチェックする前に、まず、身につけるべき習慣があります。
それは売上高を追うことです。
最初から、やれ流動比率だ、自己資本比率だ、を追う必要はないです。まず、数字に慣れ親しみ興味を持つことが大切なので、自分(自社)の努力の成果が如実に現れる「売上高」を、毎月(業種によっては毎日or毎週)追うクセをつけてみてください。
これは初心者ブロガーが、いきなり「直帰率」や「ページ/セッション」を追ってもピンとこないのと同じことです。最初は「ページビュー数」や「訪問者数」を追う方が、更新の励みになりますよね。
ちなみに売上高は、会計ソフトの記録を眺めるよりも、自分で記録してみましょう。
とにかく記録を蓄積することが大事なので、手書きで記録しても、Excelやアプリなどに記録してもOK。
あなたが記録しやすい、続けられる方法でどうぞ。
(2)2つの要素を組み合わせて、追ってみる
売上高を追うことに慣れてくると、眺めている数字が単なる数字の羅列ではなく、意味のある符号に見えるようになります。
「あ、この日は、気温が低くて客足が悪かったからな。」
「1ヶ月前に打った販促が効いたに違いない。」などというように。
そうしたら次のステップで、売上高の記録と合わせて、気になる要素も合わせて記録するようにしましょう。
販促を打った日にマークをするとか、気温と天気を記録するとか。本当に因果関係があるのか検証してみるのです。
こうなってくると、数字を追うことが、だんだん楽しくなりますよ。
■ スポンサー広告 ■(3)数字と数字を割ってみた結果を、追ってみる
ここまで来たら、数字と数字を割ってみるようにしましょう。
最初はわかりやすい、損益計算書の数字同士の割り算でいいです。
広告費の効果を調べたければ、広告宣伝費÷売上高
原価や粗利を調べたければ、原価(売上総利益)÷売上高
人材集約型の事業ならば、人件費÷売上高
単純に「どれだけ儲かっているのか(手残りがあるのか)」をチェックしたければ、最初は
営業利益(経常利益)÷売上高 でもいいです。
そしてその率を、同種同業者の統計数値と比べたがる方は多いのですが、規模・ビジネスモデル・収益構造の差が激しい中小企業においては、あまり他社平均と比べても意味がないです。
それより「これ」と決めた自社の数値の「割り算」の結果を、毎月追ってみることが大事。
例えば、営業利益(経常利益)÷売上高を追って行くことで
「売上が上がっている割に、どうして利益率は今月は芳しくないのかな?」
といった気づきが得られ
「原因を究明してみよう」
と、興味が広がっていきます。
興味が持てる状態になれたら、「数字に強い社長」の第一歩です!
きむら
(4)番外編:ムリにB/S(貸借対照表)分析する必要がない場合も!
「財務分析で重要なのは、B/S(貸借対照表)分析」
「金融機関などは、自己資本比率など安全性分析重視」
などと、言われています。
確かにそうなんですが、繰り返しになりますが、初心者ブロガーがいきなり直帰率や離脱率を気にしてもあまり意味がないのと同じで、ちゃんとその意味が実感できるようになってからでないと、あまり意味が無いというのが、私の考えです。
あと、中小企業やフリーランサーの中には、
「売り掛けを持たない」
「在庫を持たない」
「借り入れはしない」
「固定資産は持たない」
という業種の方も多いかと思います。そういった業種は、B/S分析ってほとんど意味がないんです。
在庫がある企業や、債権回収のサイト(期間)の関係で資金繰りがうまくいってない企業や、金融機関からの資金調達をしているところ・考えているところは、B/Sの分析も必要ですが、
「すべての会社が必要というわけでもない」
ということも、特に規模の小さな会社さんは、心に留めておいて頂ければと思います。
まとめ
以上、小さな企業のための、数字に強い経営者になるための4つのステップでした。
税理士きむら
(2)2つの要素を組み合わせて、追ってみる
(3)数字と数字を割ってみた結果を、追ってみる
(4)背伸びしてB/S(貸借対照表)分析する必要ナシ
(^^)こうしているうちに、いつの間にか「あの人は数字に強いよね」と言われるようになりますよ!
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