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【平成30年の年末調整】平成30年分の保険料控除申告書の書き方を徹底解説

年末調整の書類の記入に関して、ピンポイントで問題を解決されたい方は、まとめ記事から必要な情報を探されると便利ですよ!
【平成30年の年末調整】総まとめ〜書き方・注意点など各記事へのリンクはこちら!

こちらは平成30年の年末調整で、生命保険や地震保険の控除、社会保険の控除、小規模企業共済等掛金控除を受ける方向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

平成30年分から、マル保(保険料控除申告書)が単独の書類になりました。

そこで、このページでは、平成30年の年末調整の際に作成する平成30年分給与所得者の保険料控除申告書の具体的な書き方を、徹底解説しています。

新しいマル保(保険料控除申告書)とその役割

書類は変われど内容に変わりなし!

平成29年分までは「配偶者特別控除申告書」との兼用書類であったマル保(保険料控除申告書)ですが、平成30年分からは単独の書類になりました。

書類が分かれたのは、配偶者控除・配偶者特別控除が平成30年から複雑になったためですが、マル保については、平成29年分までと書き方に大きな変更はありません。

配偶者控除等申告書が複雑なだけに、ちょっと一安心ですね。

保険料控除申告書の役割

ところで、マル保は、誰もが書かねばならない書類なのでしょうか?書くと、何かいいことがあるのでしょうか?

所得税には、生活事情を考慮して、各種の所得控除があります。

控除を受けることにより、納める税金を軽減することができます。

確定申告をする場合は、申告書に所得控除に必要な事項を書きますが、サラリーマンはマル保を書くことで、次の所得控除を受けることが可能になります。

  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除

これらの控除を受ける人がこの書類を書くことになるので、ここからお話しする保険料や掛け金を払っていない人は、マル保を勤め先に出す必要はありません。

裏を返せば、ここからお話しする保険料や掛け金を払っているならば、勤め先にマル保を出さないと控除を受けられませんから、損になってしまいます(確定申告でリカバリーすることはできますが)。

税理士きむら

つまり、漏れなくマル保をしっかり書くことは、最も身近な節税なんですよ。

このブログ記事を読むことで、

へー、そーだったんだっ!!

ということがあり、あなたの税金が少なく(=年末調整の還付金が多く)なることがあれば、ブロガー税理士冥利につきます。

それでは、ブロックごとに、マル保の書き方を解説していきます。

「基本情報」の欄

所轄税務署長等

ここは、勤め先の所轄税務署名を書く欄です。基本的に勤め先が記入する個所なので、空欄で配られたとしても、書く必要はありません

間違っても、あなたの住所の税務署名を書かないように。

給与の支払者の名称(氏名)

あなたの勤め先が会社なら会社の名称、個人事業者であれば氏名や屋号を書きます。

基本的に勤め先が記入する個所なので、配られた時にプリントされているかゴム印が押されていることが多いです。

給与の支払者の法人(個人)番号

勤め先が記入する欄なので、スルーしてください。誤って、自分のマイナンバーを書かないように!

給与の支払者の所在地(住所)

あなたの勤め先の所在地、住所を書く欄です。

「給与の支払者の名称(氏名)」同様、基本的に勤め先が記入する個所なので、配られた時にプリントされているかゴム印が押されていることが多いです。

あなたの氏名・フリガナ・(印)

フリガナを忘れずに書きましょう。

ハンコは、実印である必要はもちろんありませんが、シャチハタ以外のハンコを押しましょう

よくある間違いが「給与の支払者受付印」の欄にうっかりあなたの印を押してしまうこと。「給与の支払者受付印」は、勤め先がハンコを押す場所なので、押さないようにしましょう。

あなたの住所又は居所

平成30年1月1日現在の住所を書きます。

もしも、1月1日以降に引っ越していたとしても、1月1日現在の住所を書きます。

給与の支払者受付印

あなたの勤め先が、配偶者控除等申告書を「受け取りました」という、受付印を押す個所です。空欄のまま提出しましょう。

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「生命保険料控除」欄

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、1年間の生命保険料の支払額に応じて、所得を減らすことができる控除です。

ただし、生命保険料を払えば払うほど所得が減るわけではありません。

保険料を「一般の生命保険料」「個人年金保険料」「介護医療保険料」に分け、それぞれの支払額が年間各80,000(旧契約100,000)円を超えると、そこから先は一律に控除額は年間40,000(旧契約50,000)円です。

つまり、どんなに保険料をいっぱい払っても、受けることができる生命保険料控除額は最高で年120,000円ということ。

(1)旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく、旧生命保険料・旧個人年金保険料)の控除額

年間の支払い保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超  一律50,000円

(2)新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく、新生命保険料・介護医療保険料・新個人年金保険料)の控除額

年間の支払い保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超  一律40,000円

合わせて控除できる金額

記入がラク!合計額や控除額はサポートツールを使っちゃおう!

生命保険料控除は、このように、ちょっと複雑です。

そこで、計算をするのに便利なサポートツールを使うことをおすすめします。手書きで計算した人も、計算が正しいか検算になりますよ!


STEP.1
保険会社から送られてきた「生命保険料控除証明書」の次の2点を確認
  • 加入している保険が一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料どれに該当するのか?
  • 加入しているのは新・旧どちらの保険か?(※介護医療保険料には新・旧の区別はありません。)

▼この「決め手」になる部分が目立つようマークします。

証明書を著しく破損しない限り無効になったりしないのでご安心を。こうするだけで、計算の際の誤りがなくなります。


STEP.2
保険会社のサポートツールにアクセス

保険会社のウェブ上のサポートツールを利用します。
特におすすめなのは次の2つ。


STEP.3
保険料を入力

保険契約ごとに、「新・旧」「一般・介護医療・個人年金」の区分にしたがい、保険料を入力していきます。


(こちらは住友生命のサポートツールの操作画面)


STEP.4
計算

保険料をすべて入力し終えたら、「計算する」をクリックします。


STEP.5
生命保険料控除欄に転機

次のように計算結果と記入例が出てきます。



これをそのまま生命保険料控除の各欄に転記すればOK!

税理士きむら

「新・旧」「一般・介護医療・個人年金」の区分と、「金額」の入力さえ間違えなければ、簡単に控除額を計算し、書き方まで教えてくれるサポートツール。使わなきゃ損ですよ〜!

合計額や控除額以外の部分の書き方

それ以外の部分は、控除証明書に沿って、契約に関する情報を書いていきます。

項目 書き方の補足
保険会社等の名称 保険会社名が長ければ適宜略称で構いません。
保険等の種類 控除証明書にある「種類」
保険期間又は年金支払期間 控除証明書にある「期間」
保険等の契約者の氏名 控除証明書に書かれている人の氏名
保険金等の受取人氏名 控除証明書に書かれている受取人の氏名
あなたとの続柄 ⑤があなたの場合は「本人」、それ以外の場合は配偶者(妻、夫)、父、母、子、など
新・旧の区分 控除証明書に書かれている「新」「旧」の区分
あなたが本年中に支払った保険料等の金額 控除証明書に書かれている「12月末時点の申告予定額」
※間違って証明日時点での証明額を書かないように!
給与の支払者の確認印 勤め先が使う欄なのでスルーで

添付する証明書

この控除を受けるには

保険会社から送付された生命保険料控除証明書(原本)を添付します。引き落とし通帳のコピーとかではダメですよ。
ただし、旧契約の一般保険料の場合、年の払込保険料が1契約9,000円以下のときは、証明書の添付を省略できます。新契約の保険料や、旧契約でも個人年金保険料は、少額でも証明書が必要です。

「地震保険料控除」欄

地震保険料控除とは

地震保険料控除とは、地震保険料の年間支払額に応じて、所得を減らすことができる控除です。

1年を超える長期契約で保険料を一時払している場合には、1年分に換算された金額が控除証明書に記載されるので、その金額をもとに毎年控除を受けることが可能になります。

地震保険料の控除額は上限5万円ですが、年間5万円を超える地震保険料を支払う方はそういないので、払った額の1年分がそのまま控除されると考えていいでしょう。

旧長期損害保険料を支払っている場合

平成18年12月31日以前の旧損害保険の長期契約者には経過措置があり、以下の計算式で控除額が決まります。

払込保険料 保険料控除額
1万円以下 支払保険料等
1万円超2万円以下 支払保険料等×1/2+5,000円
2万円超 15,000円

地震保険も旧長期損害保険も支払っている場合

両方に加入している場合は、それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)が控除額となります。

書き方

控除証明書に沿って、契約に関する情報を書いていきます。

項目 書き方の補足
保険会社等の名称 保険会社名が長ければ適宜略称で構いません。
保険等の種類(目的) 「地震(建物)」「地震(家財)」「地震」など
保険期間 契約期間(1年~5年)
保険等の契約者の氏名 控除証明書に書かれている人の氏名
保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名 家に住んでいる人・家財を利用している人(通常は契約者の氏名)
あなたとの続柄 ⑤があなたの場合は「本人」、それ以外の場合は配偶者(妻、夫)、父、母、子、など
地震保険料又は旧長期損害保険料の区分 該当する部分に〇
あなたが本年中に支払った保険料等のうち、左欄の区分に係る金額(分配を受けた剰余金等の控除後の金額)(A) 控除証明書に書かれている金額
(A)のうち地震保険料の金額の合計額(B) 地震保険料の額の合計を書きます
(A)の旧長期損害保険料の金額の合計額(C) 旧長期損害保険料の額の合計を書きます
地震保険料控除額 (B)(C)の額を当てはめ計算した控除額を書きます
給与の支払者の確認印 勤め先が使う欄なのでスルーで

添付する証明書

この控除を受けるには

損害保険会社等から送付された証明書(原本)を添付します。これまた引き落とし通帳のコピーとかではダメですよ。
そして地震保険料控除は、少額でも証明書が必要です。

「社会保険料控除」欄

社会保険料控除とは

社会保険料控除とは、自分自身の社会保険料(国民年金、国民健康保険、健康保険・厚生年金保険など)を納めたとき、または、配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を納めたときに受けられる所得控除のことをいいます。

支払った額が全額控除されるので、何ともお得な控除です(しかも年金は控除できる上に、老後は自分に還ってくるわけですから、かなり美味しいといえます)。

社会保険料控除記入上の注意点

勤め先から天引きされたもの以外で、自分が支払ったものについて書きます。勤め先の給料から天引きされている社会保険料は、勤め先が金額を把握して年末調整の際にその金額を使うので、記載しなくても控除の対象になります。

書く必要があるのは、次のようなものです。

  • 勤め先が社会保険に未加入で国民年金保険料・国民健康保険料を自分で支払っている場合
  • 年の途中で就職し、それまでは国民年金保険料・国民健康保険料をを支払っていた場合
  • 配偶者、親、子の代わりに国民年金保険料・・国民健康保険料を支払う場合

書き方

控除証明書に沿って、契約に関する情報を書いていきます。

項目 書き方の補足
社会保険の種類 国民年金、国民健康保険、国民健康保険税、国民年金基など
保険料支払先の名称 日本年金機構、市区町村名など
保険料を負担することになっている人 あなたや家族の氏名
あなたとの続柄 ③があなたの場合は「本人」、それ以外の場合は配偶者(妻、夫)、父、母、子、など
あなたが本年中に支払った保険料の金額 国民年金や国民年金基金…控除証明書に書かれている「合計額(納付済額+年末までの見込額)を記入
国民健康保険料(税)…控除証明書が無いので、領収証等から支払額を集計
合計 全ての額を合計して記入

自分のものを支払った場合の例です。

家族のものを支払った場合の例です。

添付する証明書

この控除を受けるには

国民年金・国民年金基金のみ、証明書(原本)を添付します。
それ以外は証明書は不要ですが、勤め先によっては、金額がわかるものを提出するよう指示をすることもあります。。

「小規模企業共済等掛金控除」欄

小規模企業共済等掛金控除とは

老後の生活資金の準備として、小規模企業共済や個人型確定拠出年金の掛け金を支払った場合に受けられる所得控除のことをいいます。

支払った額が全額控除されるので、これまた何ともお得な控除です。

この欄は4つに分かれています。

項目 補足
小規模企業共済 フリーランスの退職金の準備のための掛金です。
企業型DC(企業型確定拠出年金) 企業が掛金を拠出してくれて、従業員が運用するのが企業型DC。「確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金」欄に金額を記入しますが、通常は給料から天引きされているので記載不要です。
iDeCo(個人型確定拠出年金) 自分で加入するiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」欄に金額を記入します。
心身障害者扶養共済掛金 心身障害者扶養共済制度とは、障害者を扶養している保護者が毎月一定の掛金を納めることで、保護者に万一のことがあったときに障害のある方に年金が支給される制度。
この掛金を支払っている場合は「心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金」の欄に金額を記入します。

添付する証明書

この控除を受けるには

独立行政法人中小企業基盤整備機構や国民年金基金連合会、地方公共団体から送付された証明書(原本)を添付します。
小規模企業共済等掛金控除は、少額でも証明書が必要です。

平成30年分の保険料申告書はこちらからダウンロードできます

平成30年分給与所得者の保険料控除申告書(PDF)(国税庁ホームページより)

税理士きむら

「平成30年分 保険料控除申告書」の書き方の解説は以上です。
書類が単独になったけれど、書き方は変わっていませんし、難しいのは生命保険料くらいかな?
生命保険料控除も、保険会社のツールをの力を借りて、間違いなくサクッと終わらせちゃいましょう!

保険料控除申告書以外の書類の書き方はこちら!