こちらは、平成30年の年末調整で、配偶者控除や配偶者特別控除を受ける方向けの記事です。
小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。
平成30年分から、保険料控除と配偶者特別控除の申告書の書式が変更されました。
そこでこのページでは、平成30年の年末調整の際に作成することになる平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書の具体的な書き方を、徹底解説しています。
平成29年分とどこが変わったか・新「配偶者控除等申告書」の役割
様式が2つに分かれた
最も大きな変更点は、平成29年分までは「保険料控除申告書」との兼用様式であったのが、平成30年分からは「保険料控除申告書」と「配偶者控除等申告書」に分かれたことです。
配偶者控除を受ける場合も配偶者控除等申告書に記入
平成29年分までは「扶養控除等申告書」に記入をすることで配偶者控除の適用を受けていましたが、平成30年分からは、配偶者控除を受ける場合は「配偶者控除等申告書」に必要事項を記入することになります。
記入方法が大きく変わった
配偶者控除と配偶者特別控除の改正により、記入方法が大きく変わっています。
きむら
配偶者控除等申告書を記入する順番(注意)
平成30年からの配偶者控除等申告書は、上から書いていけば良いというものではありません。
税理士きむら
そこでブロック①〜④の順番で書いていくことをおすすめします!
それでは、配偶控除等申告書の①〜④の順番に、ブロックごとの書き方を解説していきます。
■ スポンサー広告 ■「合計所得金額の見積額の計算表」の欄
あなたの合計所得金額(見積額)
ここでは、あなたの合計所得金額(見積額)を計算します。
あなたの給与の年間収入(年収)500万円(他の収入ナシ)として解説します。
紙やPDF版の配偶者控除等申告書の裏面にある、「参考:給与所得の金額の計算方法」などを使い、給与所得の額を計算します。
▼配偶者控除等申告書の裏面
500万円÷4(千円未満切捨て)=125万円 ⇒125万円×3.2-54万円=346万円
給与収入500万円の場合の所得金額は346万円になるので、次のように記入します。
年収と所得金額は違うので、誤って所得金額の欄に年収を書かないようにしましょう。 給与所得の額は、国税庁のウェブサイトでも計算することができます。
もしも、給与所得以外に次のような収入がある場合には、他の所得についても記載します。
収入の内容 | 所得の種類 |
原稿料や印税、講演料、アフィリエイト収入、インターネットオークション収入、ネット物販 | 事業的規模:事業所得 |
事業的規模以外:雑所得 | |
所有不動産の家賃収入 | 不動産所得 |
給与以外の所得の出し方については、こちらの記事を参考にしていただければと!
配偶者の合計所得金額(見積額)
同じように、右側の欄を使って、あなたの配偶者の合計所得金額(見積額)を計算します。
配偶者の給与の年間収入(年収)100万円(他の収入ナシ)として解説します。
配偶者についても同じように、「参考:給与所得の金額の計算方法」等を参考にして、給与所得の額を計算します。
▼配偶者控除等申告書の裏面
100万円-65万円=35万円
給与収入100万円の場合の所得金額は35万円になるので、次のように記入します。
その他の注意事項や他の収入がある場合の参考事項等は「あなたの合計所得金額(見積額)」の項と同じです。
合計所得金額が、あなた1千万円超or配偶者123万円超→この用紙を勤め先に出す必要ナシ!
ここまで書き終えた段階で、次のいずれかに該当したとします。
- あなたの合計所得金額の見積額が1,000万円を超える
- 配偶者の合計所得金額の見積額が123万円を超える
この場合には、配偶者控除や配偶者特別控除は受けることはできないので、配偶者控除等申告書を勤め先に出す必要はありませんし、この書類の他の部分を書く必要もありません。
税理士きむら
「本人と配偶者に関する事項」欄
「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」から「判定」へ
「あなたの合計所得金額(見積額)」の「(1)〜(7)の合計額」を、*1に転機します。
*1の金額が、「判定」欄のどこに該当するか「✔️」をします。
「判定」から「区分Ⅰ」へ
「判定」欄の「✔️」をした金額に応じ、「区分Ⅰ」にA、B、Cを記入します。
判定 | 区分Ⅰ |
900万円以下 | A |
900万円超950万円以下 | B |
950万円超1,000万円以下 | C |
配偶者に関する情報
配偶者について、次の情報を記載します。
- 配偶者の氏名とフリガナ…フリガナは忘れずに記入しましょう。
- 個人番号…勤め先の指示があれば記載します。
- あなたと配偶者の住所又は居所が異なる場合の配偶者の住所又は居所…同じ場合は空欄でOKです。
- 生年月日…配偶者の生年月日を和暦で記入します。
- 老人控除対象配偶者…昭和24年1月1日以前生まれの場合は「○」を記入。
- 非居住者である配偶者:配偶者が海外在住の場合に「○」を記入。
- 生計を一にする事実:海外に配偶者がいる場合には、その配偶者への年間送金額を記入。
「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」から「判定」へ
「配偶者の合計所得金額(見積額)」の「(1)〜(7)の合計額」を、*2に転記します。
*2の金額が、「判定」欄のどこに該当するか「✔️」をします。
「判定」から「区分Ⅱ」へ
「判定」欄の「✔️」をした個所に応じ、「区分Ⅱ」に①、②、③、④を記入します。
判定 | 区分Ⅱ |
38万円以下かつ年齢70歳以上(昭24.1.1以前生) | ① |
38万円以下かつ年齢70歳未満 | ② |
38万円超85万円以下 | ③ |
85万円超123万円以下 | ④ |
「控除額の計算」欄
ここでは「本人と配偶者に関する事項」欄で出した「判定」をもとに控除額を計算し、所定の個所に記入をします。
「本人と配偶者に関する事項」欄で導き出した、区分Ⅰ(A〜C)と区分Ⅱ(①〜④)がクロスする個所が、配偶者に関する控除の金額になります。
あなたの年収500万円、配偶者の年収100万円の例で見ると、区分Ⅰは「A」、区分Ⅱは「②」でした。これらの区分が交差する個所の金額は「380,000円」。
また、一番下の「摘要」を見ると「配偶者控除」に該当します。
この場合、「配偶者控除の額」欄に「380,000」と記入することになります。
きむら
「基本情報」欄
所轄税務署長等
ここは、勤め先の所轄税務署名を書く欄です。
基本的に勤め先が記入する個所なので、空欄で配られたとしても、書く必要はありません。 間違っても、あなたの住所の税務署名を書かないように。
給与の支払者の名称(氏名)
あなたの勤め先が会社なら会社の名称、個人事業者であれば氏名や屋号を書きます。
基本的に勤め先が記入する個所なので、配られた時にプリントされているかゴム印が押されていることが多いです。
給与の支払者の法人(個人)番号
勤め先が記入する欄なので、スルーしてください。
誤って、自分のマイナンバーを書かないように!
給与の支払者の所在地(住所)
あなたの勤め先の所在地、住所を書く欄です。
「給与の支払者の名称(氏名)」同様、基本的に勤め先が記入する個所なので、配られた時にプリントされているかゴム印が押されていることが多いです。
あなたの氏名・フリガナ・(印)
フリガナを忘れずに書きましょう。
ハンコは、実印である必要はもちろんありませんが、シャチハタ以外のハンコを押しましょう。
よくある間違いが「給与の支払者受付印」の欄にうっかりあなたの印を押してしまうこと。「給与の支払者受付印」は、勤め先がハンコを押す場所なので、押さないようにしましょう。
あなたの住所又は居所
平成30年1月1日現在の住所を書きます。 もしも、12月31日までに引っ越すのであれば、その引っ越し予定の住所を書きます。
給与の支払者受付印
あなたの勤め先が、配偶者控除等申告書を「受け取りました」という、受付印を押す個所です。空欄のまま提出しましょう。
平成30年分の配偶者控除等申告書はこちらからダウンロードできます
・平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書(PDF)(国税庁ホームページより)
きむら