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税法用語の意味がわかるブログ(30)「申告期限延長」

申告期限延長

こちらは、税法用語に詳しくなりたい、経営者や経理担当者向けの記事です。

小さな相続専門税理士のきむら あきらこ(@k_tax)です。

不定期連載「税法用語の意味がわかるブログ」第30回目です。

きむら

今回は、申告期限の延長について、解説いたします。
法人税等の申告期限は、原則として決算日の翌日から2ヶ月以内ですが、事業年度の終了日までに申請手続きを行うことで、申告期限を1ヶ月延長することができます。
早速、内容を見ていきましょう!

申告期限の原則

会社は年度末に決算をまとめた後、確定申告を行い、法人税等の申告・納付を行う必要があります。

原則として法人税等は、決算日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付しなければなりません。

決算日の2ヶ月後の日が土日祝日の場合、翌平日が「申告期限」「納付期限」となります。

申告書等の提出期限が土日祝の場合の取り扱い〜「期限が延びるもの」と「延びないもの」

法人税の申告期限を延長できる場合

このように、法人税(地方法人税)には申告書を提出する「申告期限」と、税金を納付する「納付期限」がありますが、「申告期限」は特例により延長できる場合があります。

延長が認められるのは、次の場合です。

会計監査人の監査を受けなければならない等の理由による申告期限延長

法人税の申告は確定した決算に基づいて行う必要がありますが、会計監査人の監査に時間を要する場合など、本来の申告期限(決算日後2ヶ月)までに決算が確定しない場合があります。

こういった場合、申請により、申告期限を1ヶ月延長することが出来ます。

この特例、上場しているような大企業しか対象にならないのではと思われがちですが、ごく普通の中小企業でも延長の申請を行うことができます。

参考 [手続名]申告期限の延長の特例の申請国税庁

申告期限の延長の適用を受けたい場合には、事業年度の終了日までに申請が必要です。

災害等による申告期限延長

災害などのやむを得ない理由により、本来の申告期限までに申告ができない場合は、その災害などが止んだ日から2か月以内に限り、期限の延長が認められます。

災害などによる期限の延長には、①地域指定による期限延長②個別指定による期限延長があります。

①地域指定による期限延長は、大規模な災害が発生して被害が広い地域に及んだ場合に、国税庁長官が地域と期限を定めて実施します。この場合は、税務署に申請する必要はありません

②個別指定による期限延長は、個別に税務署に申請することにより、期限が延長されるものです。

参考 [手続名]申告期限の延長の申請国税庁

・地域指定が行われた地域以外で被災した場合
・地域指定が行われた地域で被災した事業所があるものの、本店が指定地域以外にあるために地域指定による期限延長が受けられない場合

こういった場合には、こちらを申請することで、申告期限の延長をすることができます。

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申告期限延長の注意点

最後に、申告期限の延長をする場合の注意点について。

地方税は別途申請手続きが必要です

法人税同様、会社に関わる税金である法人事業税(地方法人特別税)や法人住民税といった地方税について申告期限の延長の適用を受けたい場合には、都道府県や市町村に対し別途の申請手続きが必要です。

参考 申告書等の提出期限の延長東京都主税局<申請様式><法人事業税・地方法人特別税・法人都民税>

納付期限は延長されません

また、申請手続で延長できるのは、申告期限だけで、納付期限は延長されません

申告期限の延長に合わせて納税が延びた場合には、無申告加算税や延滞税(損金不算入)は課されませんが、延長した分に対して利子税(損金算入)が加算されます。

税法用語の意味がわかるブログ(6)「損金不算入・損金算入・益金不算入」
MEMO
利子税も回避したいという場合には「見込納付」をします。
「見込納付」とは、納付すべき税金の概算を納付期限(決算日から2ヶ月以内)までに納付し、申告時に差額を精算するという方法です。
見込納付額が多い場合、差額は還付されますし、申告期限までに税金を納付しているので、利子税もかかりません。

消費税には延長制度はありません

そして、申告期限の延長は、法人税(地方法人税)、法人事業税(地方法人特別税)、法人住民税が対象です。消費税地方消費税には延長制度がありません。

法人税等の申告期限の延長手続をしたからといって、消費税もうっかり3ヶ月以内と誤認して決算日から2ヶ月以内に提出してしまうと、期限後申告扱いとなってしまいます。ご注意を!

(消費税に延長制度が無いのは、消費税が預り税的な役割を持つからでしょうね…。)

まとめ

きむら

申告期限の延長を申請し、納付期限(決算日から2ヶ月以内)に見込納付を済ませたうえで、決算日から3ヶ月以内に申告を行えば、無申告加算税や延滞税、利子税はかかりません。
申告期限の延長は、書類を提出すれば中小企業でも利用できる便利な制度です。
万が一に備え、申告期限の延長の特例を申請しておくとリスクヘッジになります。

※「税法用語の意味がわかるブログ」は、研修出版「月刊経理ウーマン」に連載中の「税法用語の意味がわかる辞典」をリライトして記載しています。

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